形状だけで流れを制御する「テスラバルブ」
1920年にニコラ・テスラは、彼が「valvular conduit(バルブコンジット)」と呼んだ装置の特許を取得しました。
これは通称「テスラバルブ」と呼ばれていて、可動部品なしにパイプの形状だけで流体の逆止弁として機能するパルブです。
バルブというのは、流体を通したり止めたりするいわゆる水門や、逆流を防ぐ逆止弁のような装置のことです。
水道の蛇口や、ガス栓もバルブに含まれます。
こうした図説を見ると分かる通り、バルブとは基本的に稼働部品をともなっているため、長期間利用していると劣化しやすく、定期的なメンテナンスが必要な装置です。
しかし、100年前にテスラが考案した「テスラバルブ」このような可動部品を持っていません。
テスラバルブはしずく型のループを連結した変わった形状によって、順方向に対してはスムーズに流体を流すのに、逆方向に対しては流れを阻害するように機能します。
形状だけで流れを制御するため、テスラバルブは一般的なバルブと比べて非常に耐久性が高くメンテナンスフリーの装置として注目されています。
実際これを利用した道具の製作や、利用の検討などはいろいろされてきました。
しかし、この装置の徹底的な流体力学的調査は実はまだ行われていませんでした。
そこで今回、ニューヨーク大学クーラント数理科学研究所の准教授レイフ・リストロフ氏を始めとした研究チームが、本格的な調査を行ったのです。
その結果、テスラバルブには、これまで考えられていなかった機能や可能性があることが明らかとなったのです。