低コストな波力発電機「ウェーブラインマグネット」
SWEL社が開発しているウェーブラインマグネットは、複数のボードが連なったような見た目をしています。
これを海に浮かべるだけで、波の力を利用して発電できるというのです。
それぞれのボードは水面に浮く素材でつくられており、波の力を受けて上下動します。
これらが中央部にある発電機のアームを絶えず動かすため、波がある限り発電が続くようになっています。
そしてウェーブラインマグネットのメリットは、持続可能エネルギーである波を利用できることだけではありません。
従来の波力発電機に比べてはるかに低コストなのです。
以前から波力発電は注目されていましたが、コストが非常に高いというデメリットがありました。
例えば1987年に文部科学省の海洋科学技術センターが開発した波力発電機のコストは63.2円/kWhです。
現在の陸上風力発電の発電コストが9~15円/kWhであることを考えると、当時の波力発電に事業性を見出すことはできませんね。
ところが、改良を重ねてきたウェーブラインマグネットは、マシン自体が頑丈で軽量になっており、しかもシンプルな設計が採用されています。
そのため製造や輸送にかかるコストを大幅に削減できるようです。
また最新バージョンでは、1つのユニットが生み出す電力が100MWにも達すると言われており、これは約2万8000世帯分の電力に相当します。
これらの性能により、発電コストは1ペニー(約2円)/kWhとなりました。
SWEL社は、「波力発電業界の基準値を下回り、化石燃料発電と同等の能力をもつようになる」とさえ主張しています。
この主張が実際にどこまで実現するかは分かりませんが、波力発電機としての性能は着実に向上しているのでしょう。
さらにウェーブラインマグネットは、海岸に到達する波の力を弱めることもできます。
複数のウェーブラインマグネットを配置することで、大量に発電しつつ、海岸周辺を守ることもできるのです。
SWEL社は、次のステップとしてこの技術の商業化と量産を目指しています。
これに、デメリットってありますか