F-22パイロットによる「僚機ドローン」の操作に成功
空中戦でパイロットが担ってきた役割は、長いあいだ変わらず過酷なものでした。
高度な操縦をこなしながら、敵味方の位置をつねに把握。武器システムを操作し、生きて帰ることまで一人で背負わなければなりませんでした。
F-22 のような単座戦闘機では、この負担はさらに大きくなります。
パイロットはマッハに近い速度で飛行する機体を扱いながら、センサー情報や通信を処理し、多数の判断を一瞬で下さなければいけないのです。
その一方で、現代の戦闘機は恐ろしいほど高価な兵器になっています。
初期のジェット戦闘機が短期間で開発され、比較的安いコストで数をそろえられた時代とは事情が大きく変わっています。
技術が高度になるにつれて開発には長い年月がかかり、機体価格も急激に上昇しました。
このままコストの上昇が続けば、それぞれの空軍が保有できる戦闘機が極端に減ってしまう可能性もあります。
こうした背景から、アメリカ空軍が重視しているのが CCA(Collaborative Combat Aircraft)と呼ばれる新しい概念です。
これは、自律飛行が可能な無人機を「ロイヤル・ウィングマン」、つまり忠実な僚機として有人戦闘機の周囲に配置し、パイロットはその指揮官として振る舞うという戦い方です。
無人機は比較的安価で、失われても人命が失われないため、危険な空域への突入や偵察など、人間を乗せにくい任務を任せることができます。
高価で数をそろえにくい戦闘機を補い、全体としての戦力を底上げする狙いもあります。
今回の実証では、ネリス空軍基地から離陸した F-22 が飛行中に無人航空機とリンクし、「どのような任務を行うか」という指示を与えました。
重要なのは、パイロットが無人機のすべての操作を細かく承認する方式ではなかったという点です。
人間が一つ一つの動きを命令するのではなく、大きな方針や目的を与え、具体的な動き方は無人機側の自律システムに任せる「on-the-loop」の形で運用されました。
つまり F-22 は自機の飛行と戦場の状況把握を続けながら、同時に無人機に任務を与える「空中の司令官」として振る舞うことに成功したのです。
では、この新しい空中戦の形を可能にしている技術とは、どんなものでしょうか。
























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