オール・インワンで腫瘍の切除と生体材料のプリントを同時にこなす
研究チームは、F3DBを用いて豚の肝臓の表面に様々な形状と材料で3Dプリントすることに成功しました。
そして印刷後の細胞生存率をテストしたところ、その大部分は印刷直後でも生存できると判明。
それら細胞は増殖を続け、印刷後1週間で4倍の細胞が観察されました。
現段階では複雑な組織を構築できるわけではありませんが、臓器の治癒を助けることは可能でしょう。
次にチームはF3DBが「オールインワンの内視鏡手術ツール」として利用できるか確かめました。
彼らは豚の腸を使って、「大腸がんの除去」を想定したテストに成功しました。
大腸がんはがんの中でも3番目に死亡する人が多い病気ですが、早期切除によって5年間の生存率が90%以上も向上すると言われています。
F3DBを使うなら、手術における患者の負担を大きく低減させられます。
まず、F3DBのノズルを電気メスとして使用し、がん病変に印をつけた後切除できます。
またノズルから水を流して、血液や余分な組織を洗浄することも可能。
さらに生体材料を直接プリントすることで、治癒を促進できるのです。
研究チームは、今回のテストにより、F3DBが様々な用途に利用できることを実証しました。
彼らは次の段階として、実際に生きている動物の体内にF3DBを挿入してその有効性をテストする予定です。
この技術は順調に開発が進めば、5~7年以内に実用化できると考えられています。