体重を減らせば正常な細胞機能を取り戻せる!
今回の研究は、過剰な肥満の人ほど体はどんどん痩せにくくなり、太る一方になるという悲しい現状を明らかにしました。
そのため内毒素の問題を解消できなければ、一度過度に太ってしまった場合もう戻れないということになってしまいます。
そこでチームはこれと別に、減量治療が内毒素の漏出によって生じる脂肪細胞の機能損傷をいかに逆転させられるかを検討しました。
ここでは主に、肥満手術などの外科的な減量治療を受けたことのある参加者の血液や脂肪細胞を調べています。
その結果、外科的な方法であっても体重が減少さえすれば血中の内毒素の量が減少して、脂肪細胞の機能改善が出来ることが確認されたのです。
このことから研究者らは「肥満手術を含む減量治療は、腸から血中に漏れ出る内毒素の量を減らし、正常な脂肪細胞を取り戻す方法として有効である」と指摘しました。
つまり過剰な肥満に人は、内毒素の影響で個人の力で減量することが難しい状態になりますが、外科的な手段を含む減量治療を受ければ、正常な脂肪燃焼の状態に体が戻るので、以後は通常の生活を取り戻せると考えられるのです。
クリスチャン氏は「私たちの研究は、腸と脂肪が健康な体重を維持する上で、密接に相互リンクした器官であることを強調している」と述べています。
また同チームのアリス・マーフィー(Alice Murphy)氏は「今回の研究では、一度肥満になったとしても、その体重を減らせば、腸由来の内毒素が脂肪細胞に与えるダメージを失くし、正常な細胞の機能を取り戻せることも示された」と話しました。
肥満は今、世界的に最も急増している現代病の一つであり、糖尿病や高血圧、脳梗塞、腎臓病など、あらゆる病気と関連しています。
研究チームは今回の知見が、過度な体重増加を防ぐ新たな治療法の開発に役立つことを期待しています。