ハエもメリーゴーランドに乗ると楽しくなっちゃうと判明!
人間の行う遊びに似た行動は、犬や猫をはじめとした幅広い脊椎動物にみられます。
動物たちが行う遊び行動は「おいかけっこ」「じゃれ合い」など多彩ですが、いくつかの共通する特徴があります。
その特徴とは①「生存に直接関係しない」一見すると無駄なものでありながら②「自発的かつ意図的」つまり強制されたものではないこと、③理屈では説明できない「非論理的」であること、④「繰り返されるが常には行わない」もの、⑤「ストレスからの解放」が起こる場合もあること、となっています。
これらの特徴を持つ遊びは多くの種で確認されており、最近ではラットにおいて「遊び心」を司る専門の脳回路があることも判明しました。
一方、昆虫などの無脊椎動物における「遊び」は解明が遅れていました。
これまでの研究でマルハナバチなど一部のミツバチにも「玉転がし」のような物体を使った遊びが存在することは報告されてはいました。
しかし遊びは物体にアクションを仕掛ける以外にも、走ったりジャンプしたり、またはブランコやジェットコースターのように自分の体を積極的に動きの中に投じる「運動遊び」も存在します。
(※ハムスターが回し車の中で走るのも運動遊びの一種と考えられます)
脊椎動物では物体に対する遊びと運動遊びのどちらも確認されていますが、これまで無脊椎動物では「運動遊び」が確認されたことはありませんでした。
そこで今回ライプツィヒ大学の研究者たちはショウジョウバエにメリーゴーランドのようにクルクル回る「回転台を備えた飼育ケージ」を提供し、何が起こるかを調べることにしました。
結果、多くのハエたちは回転台に何度も積極的に出入りしていることが判明。
特に「探索者グループ」と名付けられたハエたちはケージの滞在時間の5%以上を回転台の上で過ごしており、一度回転台に乗ると5分以上、周りながら過ごすこともありました。
回転台への出入りはハエにとって自由に行えるものであり、明らかに自発的かつ意図的な行動でした。
そして回転台に乗ることは生存に直接関係なく、乗る理由も理屈では説明できないものです。
そのため研究者たちはハエたちは回転台に乗ることを遊びとして楽しんでいると結論しました。
一方、なかには回転台が嫌いなハエがいることも明らかになりました。
「回避者グループ」と名付けられたハエたちは「探索者グループ」と違って明らかに回転台を避けており、回転台に乗る頻度も上で過ごす時間も少なくなっていました。
研究者たちは、メリーゴーランドやジェットコースターに対して好きな人間と嫌いな人間がいるように、ハエたちも回転台を使った遊びに積極性の違いが出ていると述べています。
次のページでは「遊び」の隠された意味について近年の研究結果を踏まえて解説したいと思います。