マルハナバチは餌よりも「玉転がし」がお好み?
今回の研究は、同チームが以前に行った実験に端を発しています。
そこでは、マルハナバチ(学名:Bombus terrestris)に玉転がしを学習させ、目的地まで運ぶことができると、報酬として餌が与えられました。
ところがその際、餌を得ることには目もくれず、ただ玉転がしに夢中になっているハチがいたのです。
そこでチームは「ハチも哺乳類や鳥類の子どもと同じように、遊び行動を取るのではないか」と考え、調査を開始。
仮説の検証のために、以下のような実験アリーナを作成しました。
まず、45匹のマルハナバチの入った巣箱にトンネルを設置し、実験アリーナと接続します。
アリーナは「遊び場(Object area)」と「餌場(Feeding area)」に分かれていますが、その間には何の障害物もなく、ハチは遊び場を素通りして、餌場に向かうことができます。
餌場には、ハチの好物である「ショ糖(S)」と「花粉(P)」を設置しました。(ショ糖はチューブで随時、補充される)
さらに、遊び場も真ん中の通路を挟んで、2つのスペースに分かれており、片方には自由に動く木製の玉(9個)が、もう片方には地面に固定されて動かない玉(9個)が置かれています。
この条件下で、45匹のマルハナバチが、どの場所に向かうかを観察しました。
その結果、マルハナバチの約50%がタダで餌を得られる「餌場」に向かわずに、玉のある「遊び場」に留まったのです。
それも、玉を自由に動かせる場所の方を好んでおり、ハチが単に丸い物体だけでなく、動きを好んでいることを示唆しました。
こちらが、実際に玉を転がして遊ぶ映像です。
それぞれのハチが玉を転がす回数を調べたところ、1〜2回しか玉を転がさない個体もいれば、1日に最大44回も転がす個体もいました。
これはハチが、玉を転がす行為を純粋に楽しんでいることを示します。
さらにチームは、マルハナバチが「本当に玉転がしを好んでいるのか」を実証すべく、別の実験を行いました。