折れたナイフの刃が右腹から左腰に移動
事件はネパール人男性(22)が酔っ払い同士のケンカで、右上腹部を刺されたことに始まります。
男性はかなり酔っていたため、当時の出来事をよく覚えていませんでした。
それでも刺された直後に近くの小規模な医療センターに搬送され、そこで刺し傷の縫合措置を受けています。
担当した医師は傷口の詳しい診察をすることも、縫合処置の記録もつけることなく、術後に男性を家に帰したそうです。
ところが一夜明けた翌日、男性はナイフで刺された右腹ではなく、左腰の上部に鈍い痛みを覚えました。
異変を感じた男性はより大きなシャンカラプール病院の救急外来を受診し、医師の診察を受けます。
そして腹部のレントゲン写真を撮った結果、驚くべきものが見つかりました。
なんと長さ約15センチの折れたナイフの刃が痛みのある左腰にあったのです。
その出どころは言うまでもなく明らかでした。
前日のケンカで刺されたナイフの刃が男性の知らぬ間に折れて右の脇腹内に残り、それが左腰まで移動していたと考えられます。
男性が酔っ払っていたことに加え、縫合を担当した医師が傷口を詳しく診察しなかったため、ナイフの刃が体内に入り込んでいたことに気づかなかったのでしょう。
しかしシャンカラプール病院の医師チームが最も驚いたことは、ナイフが体の右側から左側に移動する中で、中の臓器をまったく傷つけていないことでした。
そのおかげか、男性には胃腸の損傷による吐き気や下痢の症状、腸の損傷で内側の粘膜が炎症を起こす腹膜炎も見られていません。
その他、腸音や筋肉組織にも異常はなく、血行状態にも何ら問題はありませんでした。
ただ唯一生じていたのがナイフの存在による左腰の圧痛でしたが、どうやって臓器を傷つけずにそこまで移動したのか見当がつかないと医師チームは話しています。
肝臓の前面に長さ1センチ程の小さな切り傷がありましたが、これは肝臓(お腹の右上)と傷口の位置から、刺されたときにできたものと見られています。
患者の誤飲などにより腹部から折りたたみナイフやハサミ、針が見つかる事例はありますが、それらの鋭利な異物が体内を一切傷つけずに移動したケースは知られていません。
まさに折れたナイフの刃は幽霊のように男性の体内をすり抜けていったのです。
しかしそんなこと本当にあり得るのでしょうか?
実は歴史上には、臓器を傷つけずに刃物で身体を貫くフォーマンスをしていた男性がおり、これは映像記録で残されています。