顔の部分移植が成功し、患者が人生を取り戻す
顔の部分移植も大規模な手術でした。
まずドナーの必要な部位を段階的にカットしていきます。
これには皮膚と、その下にある筋肉、血管、神経を含むすべての組織、そして骨が含まれます。
次に、レピシエントの同じ部位をカットし取り除きました。
そして取り除いた部位をドナーの組織で埋めるように、段階的に移植し、結合させていきます。
顔の骨は正確な位置でネジとプレートによって固定され、神経や血管も繋ぎ合わされました。
最後にドナーの皮膚とレピシエントの皮膚が縫い合わされます。
2023年5月27日、140人以上のスタッフによって行われたこれらの移植手術は、約21時間続き、無事成功しました。
では、手術後のジェームス氏は、どのような状態なのでしょうか。
彼が集中治療室で過ごしたのはわずか17日間でした。
(顔面移植を受けた患者の中で、最も回復が早い部類に入るようです)
そしてジェームス氏は7月6日に退院し、病院近くのアパートから通いつつ、外来リハビリを続けました。
彼は2021年の事故以来失っていた「固形食品を食べること」「味や匂いを楽しむこと」を取り戻し、そのことを強く感謝しているようです。
さらに9月14日には、愛する妻や娘と共に、アーカンソー州の自宅に戻ることもできました。
移植された左目に関しては、未だ視力は戻っていません。
ただし、顕著な回復の兆しが表れています。
手術後の5カ月で網膜への血流の回復と角膜の生存が確認されており、これは医師たちの予想をはるかに超える結果のようです。
今後も左目の経過観察は続けられ、視力回復に向けてどのような追加処置が行えるか検討されていきます。
ジェームス氏の顔面とその機能は、移植によって驚くほど回復しました。
移植前の彼の状態と比較すると、失われた鼻や唇が戻り見違えるように顔面が再生されていることがわかります。
今の彼には「高圧線作業員の安全管理者として仕事に戻る」という選択肢すらあるようです。
大きな事故と大規模な移植手術を経験したジェームス氏は、今の気持ちを次のように述べています。
「私に人生の二度目のチャンスを与えてくれたドナーとその家族に、言葉では言い表せないほど感謝しています。
また、私の人生を変えてくれたロドリゲス氏と彼のチームに永遠に感謝します。
私に起きた一連の出来事の報告が、顔や目に重傷を負っている人々への励みになることを願っています」
良かった。彼の今後の幸せを願います。