砂糖に課税して国民の健康を守る「砂糖税」
近年は脂肪や糖分を過剰に含んだ食品が増えてきました。
生物の脳は高脂肪・高糖分の食品に対して報酬系のドーパミンが活性化しやすいため、最近の研究でも頻繁に摂取しているとやめられなくなることが示されています。
当然、商品としては売れやすくなるため企業も進んでハイカロリーな食品を販売していくようになります。
世界肥満連合(WOF)は、こうした流れに対して何らかの措置を講じなければ、2035年までに、世界人口の半数以上が肥満または過体重になると警告しています。
特にこの影響を受けやすいのが子供たちで、子供の肥満問題が顕著に増加していくと考えられています。
WHOは、高血圧や高血糖、肥満および過体重など、日々の食生活が原因となって死亡する人の割合は、世界全体の死亡率の19%を占めると報告しています。
健康的な食事をするよう人々を助けることは、今や世界的な課題だと言えるのです。
この課題に対処するため、「砂糖税」と呼ばれる課税の仕組みが登場してきたことをご存じでしょうか。
その名の通り、砂糖が多く含まれる食品や飲料に対して、砂糖含有量に応じて課税し、その消費を抑制するというものです。
「ただでさえ税金の支払いで苦しんでいるのに、砂糖にまで税金を課すなんて、そんな馬鹿な話があるのか」と感じるかもしれませんが、実は、この砂糖税は様々な国で既に導入されています。
しかもそれらの国々の中には、砂糖(つまり糖分)だけでなく、塩分や脂肪にも課税してきた国があるのです。
では、高脂肪・高塩分・高糖分(HFSS)の食品に対する課税は、どのような結果をもたらしたのでしょうか。
今回、ピネダ氏ら研究チームは、世界中で導入されたHFSS食品に対する課税を調査し、それらを扱った20件の研究結果を分析することにしました。