傷口から脱腸したときの医療ガイドラインがない⁈
救急車は電話での要請から4分後にダイナーに到着しました。
救急隊員によると、液体に濡れたシャツを脱がしたとき、縦に伸びる腹部の傷口から「大量の腸」が飛び出ているのに気づいたと話します。
ただ出血自体はごくわずかなものでした。
その際のイメージ画がこちらだという。
これは体内の臓器の透過図とかではなく、実際に目で見た状態を描き起こしたものだというので、どれだけすごい状態だったのかが想像できます。
救急隊員らは、傷口から脱腸を起こした際の応急処置に関する具体的なガイドラインを持っていなかったため、最善の処置の仕方がわかりませんでした。
一時的に腸を腹部内に戻すことも考えたそうですが、腸を傷つける恐れがあったため断念。
そこで彼らは生理食塩水に浸したパッドで腸を覆い、ガーゼロールで男性の腹部全体を固定しました。
病院に到着後、男性はすぐさま全身麻酔による外科手術を受けます。
泌尿器科の外科医3名が腸の損傷をチェックし、腹部内を洗浄した後、慎重に腸を元の場所に戻しました。
縫合糸で確実に傷口を閉鎖し、病院内で経過を見ることに。
最初のうちは手術による痛みが続いたため、静脈内鎮痛薬を投与していましたが、幸運にも男性の術後経過は良好で、腸損傷や細菌感染の兆候も見られませんでした。
徐々に通常食に戻していき、手術から6日目には健康な状態で退院することができました。
症例を報告した医師チームは「手術後の合併症として創傷離開(傷口が開いてしまうこと)はよく知られていますが、くしゃみが原因で傷口から脱腸を起こした例はほとんどない」と述べています。
またこの症例が起きた際の適切な応急処置のガイドラインもなかったため、今回の症例を貴重な事例として、今後のためのガイドラインを設定する必要があると話しました。
くしゃみは誰もが毎日のようにするものですが、実は体への負担は予想以上に大きなものです。
最近では、英国在住の男性がくしゃみを我慢したことで喉が裂けてしまう事例も報告されていました。
くしゃみをする際は予想外の事故にご注意ください。