男性は結婚により健康で幸福になる。女性は変化なし
男性は結婚により健康で幸福になる。女性は変化なし / Credit:Canva,ナゾロジー編集
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「結婚は人を幸せにするのか?」男性だけ年を重ねるほど幸せになっていた

2024.08.26 Monday

「家族が一番大切だ。結婚して良かった」という幸せな声を耳にすることもあれば、「価値観が合わず疲れてしまった」「人生の墓場だ」というネガティブな声を聞くこともあります。

夫婦の片方だけが幸せそうだったり、逆に辛そうだったりするケースもよく見かけます。

では、結婚は本当に人を幸せにするのでしょうか。男性と女性で違いはあるのでしょうか。

最近、カナダのトロント大学(University of Toronto)に所属するメイベル・ホー氏らは、中年以上のカナダ人を追跡した研究により、結婚した男性は未婚の男性と比べて、健やかに年を重ね、健康的で幸せを感じる可能性が2倍も高いと報告しました。

一方で女性の場合は、既婚と未婚の間に大きな差が生じませんでした。

研究の詳細は、2024年8月21日付の学術誌『International Social Work』に掲載されました。

Marriage strongly associated with optimal health and well-being in men as they age https://www.eurekalert.org/news-releases/1055189
The association between trajectories of marital status and successful aging varies by sex: Findings from the Canadian Longitudinal Study on Aging (CLSA) https://doi.org/10.1177/00208728241267791

「結婚は人を幸せにするのか」健康と幸福度から調査

結婚はすべき?
結婚はすべき? / Credit:Canva

厚生労働省によると、日本における「50歳時の未婚割合」は年々高くなっており、2020年では、男性が約28%、女性は約18%でした。

1980年の未婚割合が、男性2.6%、女性4.5%だったことを考えると、数十年の間に生涯独身でいる人の割合が急増したことが分かります。

これには、結婚に対する価値観やライフスタイルの変化や、男女における経済的格差が小さくなったことが影響していると考えられます。

結婚は、「しなければいけないこと」から、「選択するもの」へと変化してきたのかもしれません。

だからこそ、「結婚をすることで人は幸せになるのか」という疑問を多くの人が抱くようになりました。

健やかに年を重ねることができているか、未婚と既婚で比較調査。
健やかに年を重ねることができているか、未婚と既婚で比較調査。 / Credit:Canva

結婚後の幸せを測る尺度は様々ですが、今回ホー氏ら研究チームは、「身体的・精神的健康と幸福感の伴った老化」に焦点を当てました。

通常、老化によって人の健康状態は悪化するものです。

しかし、人によってはストレスや生活上のトラブルによって、同世代の人々よりも健康状態が悪化したり、幸福感が薄くなったりします。

研究チームは、結婚がこの老化のパターンにどのように影響を与えるのか興味を持ち、調べることにしました。

つまり、「健やかに年を重ねているか」という観点で未婚の人と既婚の人を比べたのです。

ホー氏らの研究では、「加齢に関するカナダ縦断的研究(CLSA)」の2011~2018年のデータが使用されました。

対象となったのは中年以上のカナダ人7641人(男性3926人、女性3715人)であり、それぞれの対象者を約3年間にわたって追跡しました。

その間で、身体的・精神的健康、幸福だと感じているか、社会的な繋がりがあるか、といった要素を調べ、彼らが健やかに年を重ねることができているか分析しました。

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