9月末〜11月後半まで「地球の月が2つ」に
今回の発見をしたのは、UCMの天文学者であるカルロス・デ・ラ・フエンテ・マルコス(Carlos de la Fuente Marcos)氏とラウール・デ・ラ・フエンテ・マルコス(Raúl de la Fuente Marcos)氏の兄弟です。
両氏は「小惑星地球衝突最終警報システム (Asteroid Terrestrial-impact Last Alert System)」、通称”アトラス(ATLAS)”を使って、地球に接近する小惑星を探索していました。
アトラスは地球近傍天体(Near-Earth object:NEO)の中から、地球に接近あるいは衝突する可能性のあるものを数日〜数週間前に検出するための観測装置です。
そして今年8月7日、地球に向かって飛来している「2024 PT5」と名付けられた小惑星の存在が確認されました。
2024 PT5は直径11メートルほどの非常に小さな小惑星で、地球からおよそ344万キロの辺りを通ります。
事前の調査で、2024 PT5は地球にかなり近づくコースを進んでいたため、衝突の心配もされましたが、軌道計算の結果、地球に衝突することはないと断定されました。
しかしマルコス兄弟が2024 PT5の大きさ、速度、進路を考慮して計算したところ、非常に面白いコースを取ることが判明しています。
2024 PT5はただ地球の横を通り過ぎるだけではなく、地球の重力に捉えられて急速に楕円軌道を描き始め、地球の周りを1周することがわかったのです。
こちらが2024 PT5の進路を予想したアニメーションになります。
Newly-discovered #asteroid 2024 PT5 is about to undergo a “mini-moon event” when its geocentric energy becomes negative from September 29 – November 25.https://t.co/sAo1qSRu3J pic.twitter.com/pVYAmSbkCF
— Tony Dunn (@tony873004) September 10, 2024
地球の重力に捉えられるの9月29日からで、その後11月25日頃にかけて地球を1周し、再び別の場所へと離れていく予定です。
つまり、この約2カ月の間は地球の周りに衛星が2つある状態になるのです。