朝型は「経験」を、夜型は「モノ」を買うと幸せになりやすい
チームは本調査で、合計1122名の参加者に協力してもらい、クロノタイプ評価に基づいて朝型と夜型に分類しました。
参加者には専用の質問票を用いて、過去に購入したもの(物質的なものと経験的なものの両方)を思い出してもらい、それぞれの購入によってどれほどの幸福感や満足感を得たかを報告してもらいます。
また参加者には、それぞれの買い物をした時期と、それが主観的な時間としてどれだけ前のことに感じられるかも回答してもらいました。
それからチームは、参加者が思い出した買い物の種類によって結果に偏りが出ないよう、購入費用や参加者の収入レベルといった変数を調整しています。
そしてデータ分析の結果、朝型はモノよりも経験を買うことに、夜型は経験よりもモノを買うことに幸福感を抱くという一貫した傾向が見つかったのです。
つまり、朝型は多くの人々に見られる「経験の優位性」を示し、旅行やコンサートにお金を使うことに強い喜びを感じやすくなっていました。
反対に、夜型に「経験の優位性」はあまり見られず、彼らは個人で所有できる物質的な買い物により大きな満足感を得ていたのです。
また興味深い特徴として、夜型の人ほど、経験にお金を使った時期を実際よりも昔のことに感じる傾向がありました。
この特徴は朝型の人には見られていません。
これはおそらく、夜型の人の中では経験に関する記憶や感情が薄れやすく、それが経験の幸福感が低くなることに寄与しているのではないかと考えられます。
実際に、夜型の人はモノを買った時期についてはこうしたズレが見られませんでした。
なぜ朝型は「経験」、夜型は「モノ」に幸せを感じる?
朝型の人が「経験」を買うことに幸せを感じるのは、彼らの行動特性に要因があると考えられます。
これまでの心理研究で知られているように、朝型は日中に活動する時間が多く、他の人々と社会的なつながりを持つ機会も多い人たちです。
つまり、外向的で活発に動く行動特性が、朝型を友人や家族と一緒に旅行やライブツアーといった精力的な経験へと突き動かしていると考えられるのです。
対照的に、夜型の人は夜間に活動的になるわけですから、内向的であまり他人とは関わらない行動特性になりやすい状態にあります。
このことが夜型の人たちを物質の購入、例えば一人でできるゲーム機を買ったり、集中して楽しめるCDやDVD、本といったモノを買う方向へと導いているのかもしれません。
もちろん、ここで示された傾向が全員に当てはまるわけではないでしょう。
朝型の人が趣味のモノを買うことに強い喜びを抱いたり、夜型の人が毎月のように旅行やライブに行くこともあるはずです。
ただ一つの傾向として、クロノタイプと幸せなお金の使い道にこうした関連性が見られるのかもしれません。