クロノタイプで「幸せなお金の使い道」は変わるのか?
これまでの心理研究において、人々の多くは「モノ」よりも「経験」を買うことに幸福を感じる傾向があることが示されてきました。
例えば、衣服やアクセサリー、趣味に関する物を買うよりも、旅行やライブ、コンサートにお金を使う方が幸福感や満足感を得られやすいのです。
この心理効果は「経験の優位性(experiential advantage)」と呼ばれています。
その理由としては、経験は他者との交流や社会的なつながりを育み、時間が経ってもポジティブな記憶として個人の中に残りやすいことが挙げられます。
一方で、モノを買うことは次第に慣れてしまうため、新鮮さや喜びが薄れやすく、強い記憶としても残りにくいことが指摘されています。
しかし、この考え方は当然ながら、すべての人に当てはまるわけではないでしょう。
研究者たちは、物質主義的な人や経験を買う経済的な余裕のない人はモノを買うことに大きな喜びを感じている可能性があると話します。
ただ今回の研究では特に、クロノタイプ(朝型・夜型)によって、幸せを感じるお金の使い道に違いはあるのかを調べることにしました。
クロノタイプ(朝型・夜型)は単に活動時間の違いだけでなく、感情や気分にも影響を与えます。
これまでの研究によると、朝型の人の方が活動的でポジティブな感情を抱きやすく、夜型の人の方が内向的でネガティブな感情を抱きやすいことが示唆されていました。
そこで研究チームは、朝型と夜型の感情の抱き方の違いが、幸せを感じるお金の使い道にも作用しているのではないかと考えたのです。