地下環境で「原始的な微生物」は生き永らえている?
地球で最初の生命は今から約35億年以上前に誕生したといわれています。
当時の生命体は単細胞のアメーバのような微生物でした。
もちろん、これらの生物を生きたまま見ることはできません。
しかしこれまでの研究で、地下に眠る古い地層には、非常に原始的な微生物が今も生き永らえている可能性が示されてきました。
地下環境では微生物の増殖速度が遅く、1億年スケールで進化せずに姿を変えていないことが判明しているのです。
実際、過去に海底下で採掘された1億年前の堆積物から「生きている微生物」を発見した事例がありました。
これは微生物が生きたまま見つかった地層の記録として最も古いものです。
このため、地下環境は原始的な微生物が進化せずに生息している場所として研究者たちの注目を集めています。
さらに南アフリカとカナダにある金属鉱山では、地下2キロメートル以上の深い坑道から採取された地下水が、20億年前に形成された古い地層の中で、10億年以上にわたり地上からの水と混じることなく封じ込められていたことがわかっています。
したがって、古い時代の地層には10億年スケールで地上から隔離された超閉鎖的な環境が継続し、その環境で微生物が進化しないまま今日も生き永らえている可能性があるのです。
この実例を見つけ出すため、研究チームは最も有力な場所の一つである南アフリカの「ブッシュフェルト複合岩体」をターゲットに地層の掘削調査を行いました。