セミの楽園を終わらせた強敵「鳥類」の台頭
今回、調査されたのは「ムカシゼミ科(Palaeontinidae)」という絶滅ゼミのグループです。
彼らは別名・ジャイアントシカダ(=巨大ゼミ)と呼ばれるようにセミの中でも大型の一群で、翼を広げた横幅は15センチ以上にも達しました。
彼らが生きていた時代は2億年以上前の三畳紀中期〜約1億年前の白亜紀後期であり、獰猛な恐竜たちが繁栄した時期と一致します。
ただ彼らが誕生した初期の頃は空を飛べる生物が昆虫しかおらず、ムカシゼミに対する捕食圧はほとんどなかったのです。
彼らは心ゆくままに樹液を吸い、空を飛んでいれば、敵に食べられることもありませんでした。
まさに昆虫たちにとって地球は楽園だったことでしょう。
ところがセミたちを絶望させる生物が約1億6000万年前のジュラ紀に出現します。
それが空を飛ぶことのできる鳥類でした。
最初の鳥類は小型で肉食性の獣脚類の一部から進化したと考えられており、羽毛の生えた翼を使って、木から木へと滑空しながら飛び移る能力を持っていたのです。
これはセミを含む多くの昆虫たちにとって最悪の事態となりました。
今まではどんなに凶暴な相手でも空さえ飛んでいれば逃げられたのに、突如として、空も飛べる凶暴な捕食者たちが現れたからです。
そしてムカシゼミたちは古代の鳥類たちにどんどん捕食され、格好の餌食となっていきました。
しかしセミの方もやられっぱなしではいられません。
新たな脅威が現れれば、新たに進化を遂げるまでです。
研究チームは最新の調査で、その証拠を見つけることに成功しました。