メカニズム:風の代りに光を受けて回転する歯車
「風の代りに光を受けて回転する歯車」
このアイディアを実現するため研究者たちはまず、風車の羽にあたる部分を作りました。
風車の場合、正面からくる風を羽が特定の方向に偏向させて受け流すことで、回転力に変換します。
一方で光を受けて回転する歯車の場合は、正面からくる光を特定の方向に変化させる仕組みを備えていました。
実験では、この傾きを生み出すために特殊なシリコン(アモルファスシリコン)が使用されました。
たとえば上の図では、上から降り注ぐ光がアモルファスシリコンによって偏向して右方向へ排出される様子が描かれています。
このときアモルファスシリコン部分では反作用によって左側に押されることになります。
光は質量を持ちませんが、エネルギーと運動量をもつために、物体に対して押す力を発揮できるのです。
風車の羽の場合は風の方向を傾かせることで力を得ますが、この歯車の場合は光の方向傾かせることで力をうみだすと言えるでしょう。
実験では歯車の表面を4等分し、それぞれの区画に光を一定方向に偏向させるガラスが配置されました。
白い矢印は各羽部分が光を受けて押される方向(反作用の方向)を示しています。
準備が整うと、研究者たちは歯車に対して上から光を浴びせます。
(※歯車部分の大きさは直径8~16μmとなっています)
すると予想通り、光を受けた歯車は左方向に回転することが明らかになりました。
また光を受ける歯車に対して別の歯車を組合わせたところ、最大で6つの歯車を連結させて動きを伝達できることが示されました。
この結果は、光の力を使うことで歯車自体を駆動させられることを示しています。
ですが今回の研究はこれで終わりではありません。
研究者たちは光を調節することで歯車の回転方向を自由自在に操る方法も開発したのです。