実は「歩いたり走ったりするのが得意」な吸血コウモリ
「ナミチスイコウモリ(学名:Desmodus rotundus)」は、鳥類や哺乳類、主に家畜(ウシ、ウマ、ブタなど)の血液を食料とするコウモリです。
その食性から俗に「吸血コウモリ」と呼ばれています。
この吸血コウモリは夜行性であり、昼間は洞穴や樹洞の中で小規模な集団を作ってぶら下がって寝ています。
コウモリといえば独特の形をした翼が印象的であり、それゆえ、「食事の際には、空からウシの背中に舞い降り、ガブリと噛みついて吸血する」なんてイメージを持っている人も少なくありません。
しかし実は、吸血コウモリは「足」を使って獲物に近づきます。
眠っている動物の数メートル離れたところに着地し、静かに歩いて近づくのです。
しかも、吸血する際には、動物に気づかれないように、小さな傷となるよう噛みつき、傷口に舌を高速で出し入れして血液を摂取します。
吸血する時間は長くて20分程度で、最大で自身の体重の40%に相当する量の血液を吸います。
その結果、食事後は血液の重量や消化のために飛ぶことができなくなり、再び地面を歩いて帰宅するのです。
「吸血鬼」はコウモリに変身して夜空を飛び回りながら移動するイメージがありますが、実際の吸血コウモリは、地面を走って移動する場面が多いのです。
翼を持つコウモリが地面を走る姿はそれだけでもユニークで面白いですが、研究者はここから彼らについてもっと深い洞察が導けることに気づいたのです。