オランダの涙が頑丈な理由
This is Prince Rupert’s Drop, and is considered the strongest glass in the world pic.twitter.com/0ANReftgDY
— Interesting As Fuck (@interesting_aIl) July 7, 2024
オランダの涙の作成方法は簡単です。
ガラスをバーナーなどで熱して溶かし、その溶けたガラス(溶融ガラス)を冷たい水に垂らすだけです。
水によって冷やされたガラスは、自然に涙型に固まります。
では、どうして熱したガラスを冷やすだけで頑丈になるのでしょうか。
それの秘密は冷却過程にあります。
溶融ガラスが水に落ちると、まず外側が急激に冷えて固まります。
この時、ガラスの内部はまだ高温のままであり、液体の状態を保っていますが、僅かな間の後、内部も徐々に冷えていき、収縮しようとします。
しかし、外側が既に固まっているため、内部が収縮しようとしても自由に縮むことができません。
内部は収縮しようとしますが、外殻に固定された状態で縮もうとするため、これにより引張応力が生じます。
さらに内部の引張応力と釣り合うように、表面では圧縮応力が発生。
オランダの涙では、これら相反する力がガラス全体を不安定な平衡状態に保っているのです。
そして表面の圧縮応力は、ガラスの強度を大幅に向上させます。
イギリスのケンブリッジ大学が関わった2016年の研究では、この表面の圧縮応力が400~700MPa(大気圧の4000~7000倍)だと報告されました。
ちなみに、オランダの涙に見られるこの現象は、強化ガラスの製造原理と同じです。
オランダの涙が注目される理由は他にもあります。
それは、これだけ高い強度を誇る物体であるにもかかわらず、簡単に全体を粉砕できるという事実です。