切れた尻尾が「再生」する秘密とは?
トカゲの尻尾の切断面を観察していると、筋肉がゆっくりと盛り上がってくるのがわかるでしょう。
これが尻尾の再生の始まりです。
どうしてトカゲは切れた尻尾を再生できるのか?
この鍵を握っているのは、筋肉に含まれる「幹細胞」です。
幹細胞とは「さまざまな細胞に変身できる能力(分化能)」と「自分と同じ機能を持つ細胞をコピーできる能力(自己複製能)」を兼ね備えた便利な細胞のことを指します。
幹細胞はヒトにも存在しており、皮膚や血液のように、一個一個の細胞の寿命が短く、絶えず入れ替わり続ける組織を保つために幹細胞が働いて、失われた細胞分を常に補充しています。
そしてトカゲの尻尾においては、切断面に形成される「芽(ブラステマ)」という組織に幹細胞が集まって、細胞の分化と複製を行い、新しい尻尾を作り出していくのです。
種類にもよりますが、ほとんどのトカゲは1〜2カ月ほどで尻尾を再生させます。
ところが再生した尻尾は完全に元通りになるわけではありません。
というのも再生された尻尾の中では、硬い骨までは作り直すことができず、代わりに軟骨が形成されるため、形が少々歪(いびつ)であったり、サイズが小さかったり、色や模様が変わることがよくあるのです。
また尻尾が中途半端な形で部分的に切断されたり、再生の過程で神経が異常に活発化したりすると、複数本の尻尾が同時に再生されるケースもあります。
ここまでトカゲの尻尾の「自切」と「再生」の仕組みについて見てきましたが、では最後に、トカゲは何回まで尻尾を再生できるのでしょうか?