猫パンチで動物を撃退できるのはなぜ?
最初に紹介した動画では、ネコがアザラシに対して強烈な猫パンチを繰り出しています。
そしてパンチを受けたアザラシは、戦意を喪失したかのように水中へ去っていきます。
これ以外にも、ネコが様々な動物に猫パンチを繰り出す動画が、公開・共有されており、猫パンチを受けた動物たちは皆、いくらか「効いている」ように見えます。
では、ネコの小さな手を使った猫パンチは、なぜそこまで効果的なのでしょうか?
猫パンチの特性を考えてみましょう。
まず、猫パンチそのものに大きな威力はありません。
大げさな打撃音が響くことはありますが、痛みを感じることはほとんどなく、傷や跡も残りません。
猫パンチを受けたことのあるネコの飼い主であれば、そのことをよく理解していることでしょう。
もちろん、鳥やネズミなどの小動物が相手であれば大きなダメージを与えることはできます。
しかし、同類の猫や、もっと大きな動物に対する猫パンチが、相手を気絶させたりダメージを与えたりすることはありません。
一方で、そのハンドスピードには目を見張るものがあります。
「猫パンチは秒速10~20m」だと表現されることがあり、これが事実であればプロボクサー並みのハンドスピードであることになります。
(これらの数字は個人による検証結果が元になっており、より正確な数字を知るためには、専門家たちの研究報告を待つ必要があります)
いずれにせよ、プロボクサーのパンチと同様、不意に繰り出される猫パンチを避けられる人間や動物はほとんどいません。
これにはスピードだけでなく、猫パンチの軌道(ストレートではなくフックに近い)も関係していると考えられます。
Cats with other animals pic.twitter.com/etBouDC6XA
— Nature is Amazing ☘️ (@AMAZlNGNATURE) November 17, 2024
これら猫パンチの特性を考えると、猫パンチの効果性は、威力ではなく、「驚かせること」にあると分かります。
驚異的なハンドスピードで繰り出される猫パンチを予測することは難しく、それを受けたほとんどの動物は、その衝撃に驚いて逃げようとするのです。
もちろん、この猫パンチは失敗することもあります。十分に相手を驚かせることができない場合、手痛い仕返しを受けることが少なくないのです。
ちなみに、私たちが見かける「猫パンチ」の多くは、相手に対する警告や軽い威嚇のために使用されています。
猫がより本気で戦うケースでは、唸り声と共に、相手に噛みついたり、爪を出した状態で猫パンチを繰り出したりします。
そしてこうした猫パンチは、外部の敵だけでなく、身内に対して飛んでくることもあります。
もしかしたらあなたも、「猫パンチDV」の被害者の1人かもしれません。