トカゲは適当に尻尾を切っているわけではない
トカゲは天敵に襲われたりして身の危険を感じると、尻尾を切り離します。
切れた尻尾は数分の間クネクネと動き回り、天敵が尻尾に気を取られている隙に、トカゲはその場を後にするのです。
このようにトカゲが自らの尻尾を切り離す行動を「自切(じせつ)」と呼びます。
まずは、この自切のメカニズムについて見てみましょう。
実はトカゲは適当な場所で尻尾を切り離しているわけではありません。
尻尾には切り離しやすくなっている場所がちゃんとあるのです。
トカゲの尻尾は私たちの背骨と同じように、小さな椎骨がいくつも連なってできており、その真ん中あたりに紙の切り取り線のような切れ目が入っています。
これを「脱離節(だつりせつ)」と呼びます。
脱離節の部分では、骨も筋肉もスパッと切り離しやすいようになっており、トカゲが危険を感じて強いストレスを受けると、それがスイッチとなって自切機能が作動するのです。
また、トカゲの尻尾切りを実際に見たことがある人は、切断面からほとんど血が出ていないことに気づいたかもしれません。
私たちであれば、指の一本でも切断すると大量に出血してしまいますよね。
ところがトカゲの尻尾では、切断面の筋肉がすばやく収縮して出血を止めることができるのです。
では、今度は切れた尻尾を再生するメカニズムについて見てみましょう。