完成したものよりも最後まで完成させる行為に強い価値を感じる
完成したものよりも最後まで完成させる行為に強い価値を感じる / Credit: Canva
psychology

「全部集めたい!」コンプリートしたくなる心理現象 (2/2)

2025.02.04 07:00:48 Tuesday

前ページゴールまでの進捗具合の認知は歪んでいる

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完了させる行為自体に重きを置いている

スタンプをすべて集め終わり、次に店に行ったときに無料の特典を得ることができるカードと、あとひとつスタンプを貰えばすべてのスタンプを集め終わるカードが目の前にあるとします。

読者の皆さんなら、どちらのカードを失った時の喪失感が大きいでしょうか、また誰かに売ってほしいと頼まれた場合どれくらいの値段をつけるでしょうか。

実際にどちらの方が喪失感が大きく、売却時に高い価格をつけるかを調べた研究があります。

それは米アイオワ大学のボーエン・ルアン氏(Bowen Ruan)らの研究です。

実験に参加したのは、オンラインで募集した185名でした。

研究チームは、すべてのスタンプが集まった特典がもらえる状態のカードと、最後ひとつだけスタンプが欠けているカード、それぞれのカードを失った時の喪失感と、他者に売却するときの希望金額を尋ね、それぞれの価値を参加者に検討してもらいました。

実験の結果、スタンプがすべて揃っていないカードは、すべて揃っているカードよりも失った時の喪失感が大きく、売却するときの希望価格が高いことが分かりました。

また後続の実験では完成に至るまでの要素1つが欠けた場合のほかに、2つあるいは3つ欠けた状態での売却希望価格を調べ、すべて揃っており無料の特典がすぐ手に入る場合と比較を行なっています。

分析の結果、スタンプが揃っていない条件ではスタンプが3つ足りないカード、2つ足りないカード、1つ足りないカードの順に売却希望価格が高くなり、4個すべて揃っているカードは3個足りないカードと同程度の売却希望価格になりました。

完成まで1つ欠けている条件の時に最も売却希望価格が高くなった
完成まで1つ欠けている条件の時に最も売却希望価格が高くなった / Credit: Huang, Zhang, & Broniarczyk. (2012)

この結果は、完成品よりも完成していないけれども完成に近いものほど価値が高く感じられる傾向を示しています。

つまり私たちは「もう少しで完成する」という状態に強い魅力を感じ、その過程や努力に価値を見出しているのです。

この心理は、収集癖にも深く関わっていると考えられます。

コレクターは、一見すべてが揃っている状態に最も価値を置いているように思われがちですが、最後まで集め切る行為に対しより強い価値を感じ、「もう少しで完成する」という状態に強い魅力を感じていると言えるのです。

収集癖がない人もつい、あと一つで完成するパズルや、あと一話で終わるドラマに強く惹かれるのも、この心理が働いているのかもしれません。

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「全部集めたい!」コンプリートしたくなる心理現象 (2/2)のコメント

ゲスト

えごめん分からなかった。
スタート直後を楽観視してゴール目前だと過小評価する話と
もう少しで完成するスタンプカードの方が魅力に感じるのとどういう関係があるんだろう

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