ナノスケールでシューティングゲームが可能に
今回の研究では、ナノサイズに収束した電子線を高速走査することにより、ディスプレイ面に電場と光学像の動的パターンを生成して、ナノ粒子との間に働く力場をリアルタイムに制御することに成功しました。
鍵となるのは、力場呈示ディスプレイと呼ばれるナノスケールのディスプレイ技術です。
このディスプレイは、厚さ100nmの窒化シリコン(SiN)薄膜を使用しており、その裏側から走査した集束電子線により、光学像と電場パターンを動的に生成します。
電子線が入射した場所では、電気力線に従う力場が発生。薄膜上のナノ粒子が移動するのです。

これにより、ナノ粒子を自由に動かし、プレイヤーがコントロールできる環境が作り出されます。
そしてデモンストレーションでは、プレイヤーがジョイスティックを使って呈示した自機(二等辺三角形状)と弾(ナノドット)を操作し、現実のナノ粒子(ポリスチレン球)を撃ち飛ばすシューティングゲームをプレイしました。
ナノ世界で実際の物質と仮想キャラクターが相互作用するという、これまでにないゲーム体験が実現したのです。