ナノスケールでシューティングゲームが可能に
今回の研究では、ナノサイズに収束した電子線を高速走査することにより、ディスプレイ面に電場と光学像の動的パターンを生成して、ナノ粒子との間に働く力場をリアルタイムに制御することに成功しました。
鍵となるのは、力場呈示ディスプレイと呼ばれるナノスケールのディスプレイ技術です。
このディスプレイは、厚さ100nmの窒化シリコン(SiN)薄膜を使用しており、その裏側から走査した集束電子線により、光学像と電場パターンを動的に生成します。
電子線が入射した場所では、電気力線に従う力場が発生。薄膜上のナノ粒子が移動するのです。

これにより、ナノ粒子を自由に動かし、プレイヤーがコントロールできる環境が作り出されます。
そしてデモンストレーションでは、プレイヤーがジョイスティックを使って呈示した自機(二等辺三角形状)と弾(ナノドット)を操作し、現実のナノ粒子(ポリスチレン球)を撃ち飛ばすシューティングゲームをプレイしました。
ナノ世界で実際の物質と仮想キャラクターが相互作用するという、これまでにないゲーム体験が実現したのです。
最新のナノ技術が「情報空間と物理空間をつなぐ」

今回の研究では、「複合現実」を実証しました。
複合現実とは、VR技術の派生技術であり、現実の物理空間とコンピュータ上の情報空間を物理的につなぐ技術のことです。
情報空間から物理空間に干渉でき、同時に物理空間で起きたことが情報空間に反映されることで、両空間の境目がなくなったように感じられます。
従来のナノツールは、物質的な物をあらかじめ用意して作業する必要がありました。
しかし今回の成果では、コンピュータ上のデータから直接力場を呈示することによって、何もない空間にバーチャルな物体やツールを出現させることを可能にしたのです。
研究チームによると、この技術をさらに発展させることで、ナノ物質に情報空間を重ね合わせる「分子・コンピュータ・インターフェース」を生み出すことができるかもしれません。
コンピュータ上から微粒子を集合させる力場を制御し、何もない空間にナノ構造体を・生成・消去することさえ可能になるかもしれないのです。


















