悪口すら「ご褒美」!ナルシストの脳内で起きていること
実験では、さまざまなシナリオを用いて「陰口を言われること」に対する反応を調べました。
本人が席を外したとき、その人の話題(良くも悪くも)をする飲み会の場面 や、職場で昼休みにいない人の話を同僚がしている場面などなど、誰もが「あるある」と思うような状況を設定し、その上で「あなたがその話題になっていたらどう思いますか?」と質問したのです。
その結果、人々の反応には予想以上のばらつきが見られました。
調査では、参加者の64% がまったく話題に上がらないよりは、ポジティブな噂話で自分の話題が上がることが嬉しいと感じていることが明らかになりました。
しかし、興味深いことに全体の36%はたとえポジティブな内容であっても「自分が話題にされるのは嫌だ」と感じていたのです。
つまり、内容の良し悪しに関係なく「自分がいない場で話題にされる」こと自体が不快だと考える人が少なくないと明らかになったのです。
そしてネガティブなゴシップ、つまり陰口を言われた場合は、当然ながら多くの人が嫌悪感を示しました。
しかし、そんな中で全体の約15%の人が、陰口であってもそれをポジティブに受け取っていたのです。
それが、ナルシシズムのスコアが高い男性たちです。
彼らはネガティブな陰口であっても「自分が注目されている」と前向きに捉え、話題にされることそのものをむしろ歓迎する傾向が強く見られました。
SNSでは「バズった」としても、あまり良い意味で話題にならないことがあります。批判や炎上は、普通誰であっても嫌なものです。
ところが今回の研究によると、ネガティブかポジティブかは関係なく、「名前が出た」ということ自体に快感を覚える人たちがいると明らかになったのです。

ネットでは、相手への制裁などのつもりで批判や炎上騒動を起こすことがあります。しかし、相手の心理傾向によっては、「うわ、俺めっちゃ話題になってる!テンション上がる!」とただのご褒美になってしまうのです。
今回の研究で注目すべき報告は2つあります。
1つは3分の1近い人々が、影で自分のことが話題にされる事自体を不快に感じていると示されたことです。
つまり、褒めているんだからいいだろうと思っても、実際は相手にとって苦痛だったということがかなりの割合で起こり得るのです。
そのため、研究者はほとんどの人たちが「ポジティブな内容なら影で話題にしても当人は喜ぶだろう」と勘違いしている可能性があると指摘しています。
こうしたギャップは、悪意はないのに相手との関係性を悪化させてしまう恐れがあります。
このことから研究者は「まずは相手の立場を想像してみること。話題にする前に、話題にされる人の気持ちを考えて」と呼びかけています。
今後は、人のことを話題にするときは相手の特性について考えた方が良いかもしれません。
褒めても苦痛な人がいる一方、嫌がらせのつもりでも相手を喜ばせる場合もあります。
なかなか人の心は一筋縄ではいかないもののようです。
ナルシストさんはマゾでもあると…これもう無敵の性質の持ち主ですね。
「本人がいないところでその人を褒める人は信頼できる」という言葉をよく聞いたから意識してやってたんだが、嫌だと思う人も予想以上に多かったんだな……