火星に「氷の岩」をぶつける? 奇抜に見えて実は合理的
現在、火星の大気圧は地球の約0.6%(1000分の6)しかないほど薄い状態です。
そのため、私たちが生身のままスーツなしで火星の大地に立つと、体内の水分がすぐに沸騰し、爆発してしまいかねません。
また火星の気温は平均でも-60℃と低く、川や海のような液体も確認できていません。
そこでチェホフスキ博士は、火星の大気圧を人間でも住めるレベルにする方法として、氷の小惑星をぶつけるという方法を提案します。

今回のチェホフスキ博士の研究では、主に理論モデルとエネルギー計算を用いて、火星の気圧を「最低限、人体が即死しないレベル」まで高めるのに必要な物質量とその搬送手段を試算しました。
その結果、氷の小惑星を火星に数回衝突させることで、気圧上昇と温暖化の両方に効果がある可能性が見出されました。
氷の小惑星を火星にぶつけると、衝突の熱エネルギーによって大量の水蒸気やガスが放出され、大気の形成の一助になると考えられるのです。
これは奇抜で無謀な提案に見えますが、火星のような巨大な惑星の大気圧や気温を変える上では、実は合理的な方法なのです。
しかし問題は別にあります。
それは氷の小惑星はどこから持ってくるのかということです。