「うさ耳」をもつ有袋類「ミミナガバンディクート」とは?絶滅の危機に瀕している

ミミナガバンディクート(学名:Macrotis lagotis )は、哺乳綱バンディクート目ミミナガバンディクート科に属するオーストラリア固有の有袋類です。
「ビルビ」や「フクロウサギ」と呼ばれることもあります。
体長は約30~55cm、体重は1~2.5kgで、ウサギのように長い耳(約10~15cm)とネズミに似た長い尾を持ち、夜行性に活動します。
昼間は暑さと捕食者を避けるため、土中に約1.5~2mの巣穴を掘って過ごします。
この巣穴があることで、土壌の通気性が良くなり、雨水が地中にしみ込みやすくなります。
さらに、種子の埋没や発芽を助け、他の小さな動物たちにもシェルターを提供します。
年間に掘り返す土量は約20トンとさえ言われており、砂漠の土壌を改良し、環境を支える大切な役割を果たしてきました。

しかし、オーストラリア野生生物保護協会(AWC)に所属する生態学者ジェニファー・アンソン氏によると、「ミミナガバンディクートはかつてオーストラリアの約4分の3に生息していましが、今では分布域の80%から姿を消しました」とのこと。
ネコやキツネといった野生化した捕食動物が主な原因と考えられており、そこに生息地の劣化や火災による環境の変化が重なり、ミミナガバンディクートは次々と数を減らしてしまいました。
住む場所も限定され、このユニークで可愛らしい動物は、絶滅危惧種へと追い込まれたのです。
そこで20世紀後半、ミミナガバンディクートを救うため、AWCは大きなフェンスで囲った保護区を複数設置しました。
では、どんな結果になったでしょうか。