神経とつながる新しい「スマート・インプラント」とは?

新たに開発されているインプラントは、従来のものとは決定的に異なる構造を持っています。
まず、インプラントの外側には生分解性のゴム状ナノファイバー層がコーティングされています。
この層には幹細胞と、それが神経細胞に変化するのを助ける特殊なタンパク質が含まれています。
そしてインプラントは、骨ではなく軟組織を通じて固定されます。
初期はやや小さめのサイズで挿入され、時間の経過とともにナノファイバー層が分解しながら膨張し、歯槽(歯がはまり込む顎骨のくぼみ)の内壁に密着して安定するのです。
この過程で幹細胞は神経細胞へと分化し、歯槽壁に残された神経終末と再接続される可能性があります。
つまり、かつて存在していた歯の神経ネットワークが部分的に再構築されるのです。
この仕組みは、従来のインプラントにはなかった「感覚の回復」への扉を開くものです。
新しいインプラントは治癒が進むにつれて、抜歯によって失われていた口と脳のコミュニ―ションを復活させ、自然の歯とほぼ同じような「歯ごたえ」を感じ取るのに役立つはずです。
では、本当にこのようなインプラントの実現が可能なのでしょうか。
ラットの実験を見てみましょう。