自然な歯のような“食感”
歯を失った人が選ぶ一般的な治療法のひとつが、歯科インプラントです。
これは、ネジのようなチタン製の金属柱を顎の骨に埋め込み、その上にセラミックの人工歯を取り付けるという方法です。

この方法は高い耐久性を誇り、見た目も自然で美しい仕上がりになります。
しかし、「噛む」ことはできても「感じ方」が変わることがあります。
その理由は、自然な歯に備わる「歯根膜(しこんまく)」と呼ばれる神経を含んだ膜が、インプラントには存在しないからです。
歯根膜は、歯に加わる圧力を神経に伝える重要な役割を果たしており、これがあるからこそ私たちは自然な「歯ごたえ」を感じることができるのです。
これがもたらす感覚は敏感で繊細であり、揚げ物のサクサク感や、団子のモチモチ感も、この歯根膜のおかげで得られます。
現在のインプラントは「機械的な義歯」であり、やはり「生きた食感」を生み出さないのです。
この限界を超えるために、タフツ大学の研究チームは「神経とつながるインプラント」の開発に挑みました。