40年で1300万人、さらに増加中

世界全体で体外受精で生まれた子供はどのくらいいるのか?
答えを得るため研究者たちは国際的な不妊治療のデータベース(ICMART)に報告された、101か国の体外受精に関するデータを分析することにしました。
この中には、どれくらいの人が治療を受けたのか、どれくらいの赤ちゃんが生まれたのかといった情報が含まれています。
ただし、すべての国や病院が正確に報告しているわけではありません。
中には記録がなかったり、一部のデータしか提出していないところもあります。
そこで研究者たちは、報告されていない国や病院のデータを予測して補う方法(統計的推定)を使いました。
たとえば、クリニックの数から全国の治療件数を見積もったり、妊娠の報告だけで出生数がない場合には、流産率などを考慮して計算を行いました。
このようにしてできるだけ正確な数を出したところ、1978年から2018年の40年間で、世界中で少なくとも約983万人〜1302万人(およそ1000万〜1300万人)の赤ちゃんが体外受精で生まれたと推定されました。
これは、これまで考えられていたよりも多い人数です。
また、グラフで見ると、特に2000年ごろから体外受精での出産が一気に増えていることがわかりました。
地域別の累計出生数を詳しく示すと、まず ヨーロッパ全体では約360万〜450万人のIVF児が誕生しており、これは世界最多です。
次いで アジア全体が約300万〜400万人、北アメリカ(主に米国とカナダ)が約140万〜160万人となっています。
ヨーロッパの数字が突出している背景には、各国政府による治療費助成や保険適用の手厚さがあります。
またオーストラリアでも公的補助が進んでおり、国内全体で16人に1人(約6%)がIVF児で、年齢を35歳以上の母親に限れば、10人に1人が体外受精による出産という高い割合になります。
研究チームは2018年以降の伸びも推計しました。
その結果、さらに2018年以降にも追加で約300万〜400万人のIVF児が生まれたと推計されました。
これらを合計すると、2024年時点の累計は世界で約1300万〜1700万人に達すると計算されます。
これは人口2,600万人あまりのオーストラリアの半数以上に相当する規模であり、体外受精が世界中で広く普及し、数多くの命を生み出してきたことがわかります。


























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