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Credit: canva
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ハヤブサはサクランボ農園の「警備員」にできると判明

2025.12.01 12:00:33 Monday

米ミシガン州のサクランボ農園で、ある小さな猛禽類が“農家の救世主”として注目を浴びています。

その正体は、体長わずか23センチの「アメリカチョウゲンボウ」です。

このハヤブサ科の猛禽類が、サクランボをついばむ鳥たちを追い払い、作物の汚染リスクを下げる“空の警備員”として大きな効果を発揮することが、ミシガン州立大学(MSU)の研究で明らかになったのです。

研究の詳細は2025年11月26日付で科学雑誌『Journal of Applied Ecology』に掲載されています。

Falcons help keep bird poop off your delicious cherries https://www.popsci.com/environment/falcons-cherries-bird-poop/ Michigan cherry farmers find a surprising food safety ally: falcons https://www.eurekalert.org/news-releases/1106971
Falcons reduce pre-harvest food safety risks and crop damage from wild birds https://doi.org/10.1111/1365-2664.70209

サクランボ農家が悩む「鳥害」と「汚染リスク」

ミシガン州、ワシントン州、カリフォルニア州、オレゴン州などの地域では、サクランボ農家が毎年必ず直面する問題があります。

それは「鳥が実を食べてしまう」という単純ながら深刻な被害です。

どれほど対策を講じても、年間で5〜30%もの作物が失われることがあり、農家にとって頭の痛い課題になっています。

さらにもうひとつ無視できない問題があります。

鳥は果実を食べるだけでなく、サクランボの木にフンを落としていくのです。フンには時に病原体が含まれ、食品安全への懸念にもつながります。

実際に、研究チームが農園で採取したフンをDNA解析したところ、およそ10%からカンピロバクター菌が検出されました。

人に下痢や発熱を引き起こす代表的な食中毒菌です。

もちろん、これまでカンピロバクターによる食中毒がサクランボと関連づけられたケースはありません。

しかし、葉物野菜など他の作物では鳥のフンがリスク要因になることがあり、安全性の観点からも鳥害対策は重要と考えられています。

農家はこれまで、かかし、スプレー、音の出る装置、ネットなど様々な対策を導入してきました。

しかし費用がかかる割に効果が限定的で、「完全に鳥を防ぐ」のは現実的に難しい状況でした。

そこで研究者たちが目をつけたのが、自然界にすでに存在する“鳥の天敵”でした。

次ページ小さなハヤブサが“大きな成果”を生む

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