人間が直に何もしていなくても動物の家畜化は進行してしまう

研究グループはまず、市民参加型の自然観察プラットフォーム「iNaturalist(アイナチュラリスト:生物の写真共有サービス)」から北米各地のアライグマの写真を集めました。
2000年から2024年までに投稿された10万枚超の画像から、同じ人が撮った重複を除いて約2万枚にしぼり込みました。
そのうえで「被写体が生きたアライグマである」「頭部が横から写っている」「解像度が十分で鼻先などの細かい部分が見える」といった条件を満たす写真だけを選び、最終的に249枚が解析対象となりました。
次に写真に写ったアライグマの鼻先の長さ(鼻先の先端から目頭まで)と頭骨の長さ(鼻先の先端から耳の付け根までの距離)を測定し、その比率を個体ごとに算出しました。
加えて写真ごとに撮影場所を都市度(農村〜都市までの連続指標を用い、解析では「都市」と「農村」に分類)で分類し、気候帯や緯度の情報も組み合わせて、都市環境そのものの影響を統計的に抽出しました。
その結果、都市に生息するアライグマでは鼻先が短い傾向が明らかになりました。
統計モデルによれば、気候帯など他の要因を考慮しても都市部のアライグマは、頭の長さに対して鼻先の部分が田舎の個体より平均で約3.5%だけ短いことが示されたのです。
数字上は小さな違いですが、全米レベルで一貫して確認された統計的有意な差です。
言い換えれば、都市部の環境に適応したアライグマたちに、微細ながら身体的な形態変化の兆候が現れていたのです。
では、この変化はどのような意味を持つのでしょうか。
研究チームはこの差異を、「家畜化症候群が現れ始めたサイン」である可能性があると解釈しています。
野生動物が人間のそばで暮らすことで性格がおとなしくなり、その副次的な効果で顔つきまで変わってくる現象だと考えられるという仮説です(本研究では性格そのものは直接測っていません)。
実際、鼻先の短縮は家畜化症候群の代表的な特徴であり、アライグマで見られた変化はオオカミから犬への進化過程に見られるものと共通しています。
神経堤細胞仮説に従えば、恐れが少ない個体が選ばれるということは副腎髄質(恐怖やストレスに関わるホルモンを出す部分)など恐怖を司るホルモンに関連する細胞が少ない個体を選ぶということと同じであり、それはそうした組織の細胞のもととなる神経堤細胞が少ない個体を選ぶことと同じだと考えられます。
神経堤細胞は頭や顔の骨、あご、耳の付け根、皮ふの色、そしてストレス反応に関わる一部の組織など、いろいろな場所の「材料」になる細胞ですのでその変化によって、さまざまな部位に同じような変化が起こるわけです。
都市アライグマの場合も、あくまで仮説ですが、人間への「ビビり度」が下がった個体が生き残りやすくなり、その結果として少しずつ顔つきまで“家畜寄り”に変わり始めているのかもしれません。


























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