がん細胞を「成長停止」に追い込む分子の戦い
運動の効果は、エネルギーの奪い合いだけに留まりませんでした。
チームが、運動したマウスの腫瘍と、しなかったマウスの腫瘍の遺伝子レベルでの変化を分析したところ、驚くべき現象が確認されます。
運動によって腫瘍内の「mTOR」というタンパク質のシグナル伝達が大きく抑制されていたのです。
成長を制限するスイッチ「mTOR」
mTOR(エムトア)は、細胞の成長、増殖、生存を制御する、細胞内の非常に重要なマスターキーのような役割を持つタンパク質です。
通常、がん細胞はmTORのシグナルを常にオンにして、自分自身の無限の増殖を促しています。
しかし、運動によってエネルギー源であるグルコースが枯渇しそうになると、腫瘍細胞は極度の「高ストレス生存モード」に突入します。
このストレスが、mTORの活動を強制的にシャットダウンさせていたのです。
これは「運動がグルコースを奪い取るだけでなく、がん細胞の成長のスイッチそのものをオフにする」という、二重の攻撃を仕掛けていたことを意味します。
さらに重要な点として、この運動によるグルコースの再分配と腫瘍成長の抑制効果は、乳がんだけでなく悪性黒色腫のモデルでも確認されました。
これは、運動の恩恵が特定のがん種に限定されるのではなく、多くの種類のがんに対して有効である可能性を示唆しています。
また「運動前のフィットネスレベル(体力)」が高いマウスは、腫瘍を移植された後でもより腫瘍の成長が遅いことも示されており、運動による恩恵は「普段からどれだけ体を動かしているか」に強く依存していることがわかりました。
今回の研究は、運動ががんリスクを低下させる仕組みが、私たちが想像していたよりもずっと直接的で、そして代謝的な戦いの結果であることを示しました。
運動は、体内のエネルギー供給ルートを再構築し、猛威を振るうがん細胞の燃料を、最も身近で健全な組織である「筋肉」に供給することで、がん細胞を飢餓に追い込んでいたのです。
もちろん、がんは複雑な疾患であり、「ジムに行くだけでがんが治る」という単純な話ではありません。
しかし、この研究は、運動ががん予防における極めて強力な武器であり、治療が難しい患者さんに対する新たな治療法のヒントになる可能性を秘めていることを証明しています。






























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糖質制限ダイエットはもともとがん治療の方法だったというやつですね。
活動が活発な分、使うエネルギーもすごいのでそれが賄えなくなると最大の武器であった活発な活動が減るという。
がん治療がやっかいなのは、ざっくりがんも自分だからだ
がんを治すためには自分自身の精緻な免疫システム以上の治療方法はない
今この時も自分の中にがん細胞は生まれてる
それのためにはどんどん血を送り込んで免疫システムにがんを退治してもらうしかない
なので一番いいがん予防は血液をサラサラにして運動をしてからだの隅々にまで血を送り込むことだと思ってる