コアラが増えすぎる事態が起きている

コアラと聞くと、多くの人は「ユーカリの木にだらんとしがみつく、ふわふわのアイドル」を思い浮かべるのではないでしょうか。
実際、オーストラリア東部では、森林破壊や熱波、病気などの影響でコアラの数が急激に減り、一部の州では法律上「絶滅危惧」に分類されているほどです。
ところが、同じ国の南オーストラリア州マウントロフティ山地では、まったく逆のことが起きています。
ここにはもともとコアラはおらず、ヨーロッパ人が入ってきてから、別の島や動物園から持ち込まれた個体が逃げ出したり放されて増えた「移入コアラ」です。
しかも、この地域は雨が多く、ユーカリの森もまだ残っていて、捕食者による強い圧力も大きな問題にはなっていないと考えられ、「コアラにとっての楽園」でした。
その結果、コアラたちは「ここ、居心地よすぎる」と言わんばかりに増え続け、いまや全国の推定コアラ数の約一割が、この山地だけにぎゅっと詰まっていると見積もられています。
本来なら、野生動物が増えすぎて森を壊している場合、「間引き」が管理の定番です。
しかしコアラは観光の顔でもあり、ぬいぐるみやキャラクターとして世界中に愛されています。
そのため南オーストラリアでは、「コアラを殺す」という選択肢は強い反発を呼び、政治的にもほぼ封じられているのが現実です。
人を殺傷するクマを捕殺すると抗議の電話が止まらなくなるような国が「世界のどこか」にあることを考えると、コアラの捕殺はそれよりも遥かにハードルが高いと言えるでしょう。
理論的には移送して別の場所に移すこともできますが、行き先の森も必要になります。


























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