イヌの唾液に見られるコルチゾール値は「気質テスト」の結果と関連している
まず注目されるのが、コルチゾールの変化です。
気質評価が低いイヌでは、テスト前の時点ですでにコルチゾールが高めであり、テスト後にはさらに大きく上昇していました。
一方で、気質評価が高いイヌでは、テスト後のコルチゾール上昇が小さく、全体として安定した値を保っていました。
これは、同じ刺激を受けたとしても、イヌごとに生理的なストレス反応の出方が大きく異なることを示しています。
研究者たちは、この違いが視床下部―下垂体―副腎系と呼ばれるストレス調節システムの働きと関係している可能性を指摘しています。
気質が安定しているイヌでは、このシステムが過剰に反応せず、強いストレス状態に陥りにくいと考えられます。
セロトニンについては、全体の点数との単純な相関は強くありませんでした。
しかし、気質評価が高いグループと低いグループを比較すると、高得点グループのほうがセロトニン濃度が有意に高いことが分かりました。
特に、動作の安定性や落ち着いた行動を評価する項目では、セロトニンとの関連がよりはっきりと現れていました。
これらの結果は、セロトニンがイヌの情動や行動を安定させる方向に関与している可能性を示唆しています。
ただし、今回測定されたのは唾液中のセロトニンであり、脳内の状態を直接示すものではありません。
そのため、結果の解釈には慎重さが求められます。
また、この研究には明確な限界もあります。
対象となったイヌの数は24頭と少なく、セロトニンはそのうち16頭分しか測定できていません。
ホルモンの状態が気質を形作っているのか、あるいは気質の違いがホルモン反応として表れているのかは、今後の研究によって検証される必要があります。
それでもこの研究は、「唾液だけでイヌの気質を判断できる」可能性を示しました。
将来的には、より多くのイヌを対象とし、年齢や飼育環境、時間経過を考慮した研究が進むことで、気質評価の精度はさらに高まると考えられます。
イヌの唾液は、私たちが見逃しがちな内面の安定性を映し出す、新たな手がかりになるのかもしれないのです。
























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