恋の不安を思い出させるだけで、フェラーリが欲しくなる
フェラーリが欲しくなる瞬間とは?

研究チームはまず、英国・南アフリカ・カナダでの大規模調査で基本的な関連を確認したうえで、因果関係を確かめるための実験に進みました。
米国の382人を2グループに分け、一方には「自分が十分に愛されなかった関係」を、もう一方には「自分が相手と距離を置きたかった関係」を思い出してもらいます。
そしてフェラーリ、ランボルギーニ、ロールスロイスからトヨタ、キアまで10ブランドの車について、「どれくらい所有したいか」を0〜100点で答えてもらいました。
注目すべきは、2つのグループの間に現れた差のパターンです。
「愛されなかった記憶」を呼び起こされたグループは、フェラーリやロールスロイスのような高ステータスブランドをより強く欲しがりました。
ところが、トヨタやキアのような日常的なブランドでは差が出なかったのです。
つまり彼らが欲しくなったのは「車」ではありません。「自分の格を周囲に見せつけられる車」です。
しかし、これだけではまだ、同性間競争という中継地点そのものを実験的に操作したわけではありません。
問題は、不安と高級志向をつなぐ「回路」の正体です。
恋のライバルという「スイッチ」
研究チームが見出した回路、それが同性間競争でした。合コンで気になる相手がいて、隣にもその人を狙っている同性がいたら「負けたくない」と感じる――あの感覚です。
これを強く裏づけたのが、1,358人を対象にした最後の実験でした。
参加者をまず、愛着不安を思い出す群と、見知らぬ人との嫌な経験を思い出す対照群に分け、続いてあるシナリオを想像してもらいます。
「ずっと独身だったが理想の相手を見つけた。しかしその人を狙っている同性のライバルが3人もいる」。これが競争強化群です。一方で「ライバルは誰もいない」と告げる競争低減群も設けました。
そのうえで、あらかじめステータスの高低が検証済みの住宅写真6枚を見せ、「この家をどれくらい欲しいか」「この家のオーナーをどれくらいうらやましいか」を100点満点で答えてもらいました。
同性間の競争を操作しないベースライン条件では、恋愛不安を刺激された人だけが高級住宅を強く欲しがりました。
しかし同性間競争を強化すると、どちらの愛着条件でも高級住宅への評価が高まり、愛着不安による差は見えなくなりました。
逆に競争を低減すると、愛着不安の効果もまた消えたのです。
しかも普通の住宅では、どの条件でもまったく差が出ませんでした。
つまり同性のライバルへの対抗心こそが、愛着不安と高級志向をつなぐ本当の回路であることが、この実験で裏づけられたのです。


























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