幼少期にごっこ遊びが上手だった子は、数年後のメンタルに問題が少ない
研究チームは、家庭の社会経済状況、母親のメンタルヘルス、子どもの言語能力、親子の愛着関係など、発達に影響しそうな要因を統計的に調整しました。
それでも、ごっこ遊び能力の高さと、後のメンタルヘルス上の困難の少なさとの関連は残りました。
特に教育者による評価では、4〜5歳時点と6〜7歳時点の両方で、内在化問題や外在化問題が少ない傾向が確認されています。
保護者による評価でも、6〜7歳時点では小さいながら有意な関連が見られました。
研究チームは当初、ごっこ遊びが感情調整能力(不安や怒りなどの感情を落ち着かせ、コントロールする力)を育てることで、後のメンタルヘルスにつながると予想していました。
しかし実際には、この「感情調整」を介した関係は確認されませんでした。
そのため研究者たちは、別の発達過程が関係している可能性を考えています。
論文では、その候補として「身体化認知」という考え方が挙げられています。
これは、考えることが脳の中だけで完結するのではなく、身体の動きや物との関わりとも深く結びついているという考え方です。
子どもが箱を家に見立てたり、医者になりきったりするとき、そこでは想像力だけでなく、身体の動き、役割理解、即興的な判断、問題解決が組み合わさっています。
こうした経験が、感情調整とは別の形で、後の心の健康と関わっている可能性があるというのです。
ただし、この研究は観察研究であり、「ごっこ遊びが直接メンタルヘルスを良くした」と証明したものではありません。
もともと情緒面や行動面の困難が少ない子どもほど、ごっこ遊びをしやすかった可能性も残ります。
また、ごっこ遊びの評価は保育者への3項目質問に基づいており、対象も保育サービスを利用していた子どもに限られます。
そのため、今後は研究者による直接観察や構造化された遊び課題、さらにランダム化比較試験によって、因果関係や具体的な仕組みを確かめる必要があります。
それでも今回の研究は、幼児期の自由なごっこ遊びが、単なる暇つぶしではなく、子どもの心の発達と深く関係している可能性を示しました。
子どもが夢中で作る小さな空想の世界は、未来の心を支える練習場なのかもしれません。




























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