不完全なオススメ機能の方が、新しい好みを育てる可能性
今回の研究は、実際のユーザーを長期間追跡したものではなく、好みが変化する仕組みを数式で表した理論モデルに基づいています。
モデルでは、ユーザーが特定のコンテンツ様式に触れることで親しみを増し、触れすぎることで飽きるという過程が設定されました。
そして、どのコンテンツを見せればユーザーの反応が高まるかを判断する、複数のタイプの推薦システム(オススメ機能のアルゴリズム)が比較されました。
その結果、非常に正確な推薦システムほど、新しいコンテンツを十分に試さなくなる傾向が示されました。
一度「これは反応が悪い」と判断されたジャンルは、十分に育つ前に排除されます。
一方で、すでに反応が良いコンテンツは繰り返し推薦され、最終的にはユーザーが飽きてしまいます。
つまり正確すぎるアルゴリズムは、自分が集めたデータによって自分の判断を正しいものに見せながら、実はユーザーの好みの幅を狭めてしまうのです。
興味深いのは、少し不完全な推薦システムのほうが、長期的には満足度を高める場合があったことです。
モデルに適度な予測誤差、つまり少しのランダム性を入れると、アルゴリズムは時々、ユーザーが普段なら選ばないコンテンツを表示します。
その偶然の出会いが、新しいジャンルへの親しみを育てるきっかけになります。
また、いつものお気に入りから一時的に離れることで、飽きを防ぐ効果もあります。
もちろん、完全にランダムな推薦が良いという意味ではありません。
重要なのは、短期的なクリックや再生時間だけを追いかけるのではなく、ユーザーの好みが時間をかけて変わることを前提に、適度な探索を残すことです。
ナイト氏は、推薦システムが単に好みを反映するだけでなく、将来の好みを形づくる存在でもあると考えています。

























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