ついに見つかった「幻のキツネ」
コスメル・ドワーフ・フォックスは、メキシコのユカタン半島沖にあるコスメル島だけに生息すると考えられているイヌ科動物です。
イヌ科には、犬、オオカミ、コヨーテ、キツネなどが含まれます。
このキツネが注目されてきた理由は、その珍しさだけではありません。
大陸にすむ近縁種のハイイロギツネに比べて、体の大きさが60〜80%ほどしかないと推定されているのです。
これは「島嶼(とうしょ)矮小化」と呼ばれる現象の例と考えられています。
島では、食べ物や天敵、競争相手などの条件が大陸とは異なります。
そのため、長い年月をかけて体が小さく進化する動物がいます。
コスメル島では、ピグミーアライグマやドワーフ・コアティといった、島に固有の小型化した肉食哺乳類も知られています。
コスメル・ドワーフ・フォックスも、そうした島の不思議な進化を示す存在かもしれません。
ただし、このキツネはまだ正式に新種として記載されているわけではありません。
これまでの主な証拠は、マヤ遺跡などで見つかった半化石化した骨でした。
そのため存在は知られていたものの、現在も生きているのか、どれほどの数が残っているのか、生態はどうなっているのかは、ほとんど分かっていなかったのです。
いわばこのキツネは、骨の記録と限られた目撃情報の中にだけ残っていた「幻のキツネ」でした。

とことろが、2023年9月14日の早朝に転機が訪れます。
コスメル島東部の海岸道路29キロ地点付近で、方向感覚を失ったような小さなキツネが歩き回っているという通報が、市民から寄せられたのです。
情報を受けたコスメル公園博物館財団の調査員は現地に向かい、午前6時ごろに成体オスの個体を発見しました。
その場で写真が撮影され、個体は安全に保護されました。































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