平面に「物理ボタン」を出現させる技術
タッチスクリーンは、限られた面積にさまざまな操作画面を表示できますが、表面が平らなため、指先だけでは操作位置を見つけにくいという弱点があります。
一方の物理ボタンは、見なくても位置を探しやすく、押した感触から操作を確認できますが、配置や役割を後から変更するのは困難です。
そこで研究チームは、必要な場所だけを光で盛り上げられる薄い金属表面を目指しました。
ただし、今回作られたのは押した入力を検知する完成済みのスイッチではなく、指で触れられる「ボタン状の突起」を光で出現させる実証装置です。
材料には、加熱すると記憶させた形へ戻るニッケルチタン製の形状記憶合金が使われています。
そして研究チームは薄い金属板へレーザーで同心円状の切れ込みを入れました。
この「切り紙」のような構造により、金属を無理に伸ばさなくても、細い帯が曲がって円すい状に立ち上がります。
さらにコンピューター解析で変形の様子を予測し、専用の固定具で立体形状を保ったまま熱処理して、その形を記憶させました。
使用時には構造を平らに押しておき、近赤外光を照射します。
光が熱へ変わって金属の温度が上がると、形状記憶合金が記憶した立体形状へ戻る仕組みです。
しかし、未処理の金属は光を反射しやすく、効率よく温まりません。
そこで表面に微細な凹凸を作り、光を吸収しやすくする工夫も加えられました。
これにより、追加のコーティングを使わずに、光だけでしっかり動く構造になっています。
実験では、切れ込みの設計によって突起の高さや押し返す力を調整でき、複数の突起を組み合わせて文字や方向を示すことにも成功しました。
さらに、表面の加工方法を変えることで、動く速さや順番までコントロールできることが分かりました。
より詳しい結果を、次項で見ていきましょう。(動画もあります)































