現代のオオサンショウウオと生息環境が違っていた
興味深いのは、その生息環境です。
化石が見つかった津房川層は、約350万年前の湖沼環境でできた地層です。
この地域からは、ゾウやワニなど、現在の日本にはいない大型動物の化石も見つかっています。
当時の九州北部は、現在よりも温暖で湿潤な環境だったと考えられており、湖や湿地、森林が広がる豊かな淡水環境が存在していた可能性があります。
そのためアジムオオサンショウウオも、現在の日本産オオサンショウウオのように主に河川にすむというより、湖沼や湿地に適応した大型両生類だった可能性があります。
これは「オオサンショウウオ科は昔から今とほとんど同じ姿・暮らしをしていた」という単純な見方に再考を迫る発見です。
【アジムオオサンショウウオの復元イメージがこちら】
もちろん、今回の研究では系統解析は行われていません。
そのため、アジムオオサンショウウオを現生オオサンショウウオの直接の祖先とみなすことはできません。
それでも、この発見は重要です。
なぜなら、オオサンショウウオ科はこれまで化石種と現生種を含めても限られた属しか知られておらず、アジアの化石記録にも大きな空白があったからです。
今回の新属新種は、その空白を埋めるだけでなく、過去の日本に、現在とは異なる生態をもつ巨大サンショウウオがいた可能性を示しました。
現在、安心院(あじむ)地域には現生のオオサンショウウオ属も生息しています。
同じ地域から、約350万年前の別属の化石と、現生のオオサンショウウオが確認されることは、この場所がオオサンショウウオ科の進化史を考えるうえで特別な意味をもつことを示しています。
オオサンショウウオは「変わらない生き物」ではなく、長い時間の中で多様な姿と暮らし方を試してきた一族だったのかもしれません。
































AI生成の復元図が、分椎類みたいな迫力。現生オオサンショウウオ類は日本のものは勿論、チュウゴクオオサンショウウオも北米のヘルベンダーも河川の中~上流域を主な生息地としている為、リムノスポンディルスが他所から遺骸が二次的に湖沼堆積物に流入・混入したいのでは無く)本当に湖沼系にワニ等と共に生息していたとすれば、極めて画期的な発見です。それこそ上記の分椎類に似た生態的地位とも言えます。遼寧省のジュラ紀や中央アジアの白亜紀のオオサンショウウオ化石は(ずっと小型なので単純に比較は出来ませんが…)湖沼で堆積物した地層から見つかっており、そういう意味では現生オオサンショウウオの方が「新しい生息環境と生態的地位に進出した(故に生き残った?)」とも言えるかも知れません。