卵の中で死んだ「赤ちゃん」が語る真実
今回の研究の出発点は、2008年に南アフリカ・カルー盆地で発見された小さなリストロサウルスの化石でした。
リストロサウルスは約2億5000万年前にいた植物食性の単弓類で、のちに哺乳類につながる進化系統に属していました。
(哺乳類の出現は約2億3000万年まで、だいたい恐竜の出現タイミングと同じ頃です)
4足歩行で、サイズは成体でイノシシくらいの大きさになります。
当初、この化石標本は「丸く体を縮めた幼体の化石」としか分かっていませんでした。
しかし研究チームは早い段階から、「これは卵の中で死んだ個体ではないか」と疑っていました。
問題は、それを証明する手段がなかったことです。

状況を変えたのは、近年発展したシンクロトロン放射光X線CTという技術でした。
フランスの欧州シンクロトロン放射光施設で詳細な内部解析が行われた結果、決定的な証拠が見つかります。
それは、下顎結合(左右の下あごがつながる部分)が未完成だったことです。
この部位は、動物が自力で餌を食べるために不可欠ですが、通常は発生の後期に左右が融合して完成します。
つまり、この個体はまだ自力で餌を食べられない段階、すなわち孵化前の胚だったのです。
さらに、体を丸めた姿勢や骨の発達状態も、卵内個体であることと一致していました。
これによりチームは、このリストロサウルスが「卵の中にいた状態」で死亡したことを確定的に示しました。
そしてこの事実は、そのまま重要な結論へとつながります。
哺乳類の祖先は、卵を産んでいたのです。



























![よーく聞いてね!3つのヒントで学ぶ!れんそうカード ([バラエティ])](https://m.media-amazon.com/images/I/61PoJqr3IkL._SL500_.jpg)























