大きな卵と「すぐ自立する子ども」という戦略
さらに興味深いのは、この生物の繁殖戦略です。
解析の結果、リストロサウルスの卵は体サイズに対して比較的大きかったことが分かりました。
現代の動物では、大きな卵には多くの卵黄が含まれており、胚は親の世話を受けずに発達することができます。
これは重要な示唆を含んでいます。
つまり、リストロサウルスは現代の哺乳類のように「乳で子どもを育てる」存在ではなかった可能性が高いのです。

さらに、大きな卵にはもう1つの利点があります。
乾燥に強いことです。
リストロサウルスが生きた時代は、地球史上最大の絶滅イベントであるペルム紀末大量絶滅の直後でした。
この時代は極端な高温と干ばつが続く非常に過酷な環境だったと考えられています。
その中で、
・栄養豊富な大きな卵
・乾燥に耐える性質
・生まれた時点でよく発達した子ども(早成性)
という特徴は、生存に大きく寄与したはずです。
実際、リストロサウルスの幼体は孵化直後から自力で餌を取り、捕食者から逃れ、短期間で成長できたと考えられています。
言い換えれば、この生物は「早く生まれ、すぐに自立し、すぐに繁殖する」という戦略を採っていました。
そしてこの戦略こそが、大量絶滅後の世界でこの種が爆発的に繁栄した理由とみられています。
哺乳類の常識は「後から進化したもの」だった
今回の研究は、「哺乳類=胎生」という私たちの常識を揺さぶるものです。
むしろ進化の出発点では、卵を産み、子どもはすぐ自立するというスタイルが基本でした。
その後の進化の中で、胎生や授乳といった現在の特徴が獲得されていったのかもしれません。



























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妊娠中の雌の化石が発見されていなかっただけで、実は胎生又は卵胎生で、2008年に南アフリカ・カルー盆地で発見されたものは羊膜に包まれた状態で流産した胎児の化石という可能性は無いのかな?
リストロサウルスは哺乳類と同じ単弓類ではあるけど直接の先祖ではないんだよなあ。
単弓類の繁殖についての希少な物証です。殻が硬く頑丈な一部の爬虫類と違い、卵化石が残り難い系統の胎児を発見・解析する方法として今回の手法の活用が期待されます。只、大量絶滅と「殻付き卵による陸上繁殖」の関係は、慎重に考える必要があると思います。リストロサウルス以外の、ペルム紀末の大量絶滅で途絶えた単弓類の系統が、リストロサウルスと別の繁殖方法を採っていたとは限りません(と言うより、別だった可能性は極めて低い)。「リストロサウルスの生態的地位に於いて、大きくマイナスにはならなかった」位のニュアンスでしょうか…。
これは変温動物かな??
卵生から胎生への過程は謎に満ちてると思う
恒温動物の場合は、卵…の中の雛の体温が下がると死んでしまうので、卵を生むタイミングをギリギリまで遅らせた個体の方が有利になるようなパワーバランスが働きそうには思う
その結果としての胎生
鳥も似たようなものだが、こっちは飛べない方が不利になってしまうので、そこまでは至らなかったんじゃないかと思う
まあ本当のところはわからないが
ただ、変温動物×卵放置、恒温動物×卵温め、の間の生き物の生態が微妙に想像つかない
鯨(水生)やナマケモノ(変温)もミステリーだが、哺乳類全般も十分パズルみたいな変遷を遂げてそうに思う
体温が高いと各種体液の粘性が低下するため、身体の回転を感知するための器官である三半規管(内部を満たしているリンパ液の動きで回転を感知するセンサー)の構造も、恒温動物と変温動物では異なると考えられます。
その考え方に基づいて、哺乳類の祖先の化石に残されている三半規管の構造を調べる事によって、哺乳類の祖先が恒温動物(内温性動物)となった時期は約2億3300万年前の後期三畳紀であったとする研究があります。
リストロサウルスが生息していた時代は約2億5,400万年前から約2億4,800万年にかけてであり、哺乳類の祖先が内温性を獲得するよりも前の時代ですから、リストロサウルスは変温動物(外温性動物)だった可能性が高いと思います。
‘リストロサウルスは現代の哺乳類のように「乳で子どもを育てる」存在ではなかった可能性が高い’は言い過ぎなのでは?
カモノハシのような現在の単孔類も卵で子を産み乳で育てるぞ
コメ主は勘違いをしています。
記事では
>リストロサウルスは現代の哺乳類のように「乳で子どもを育てる」存在ではなかった可能性が高い
とした理由について、「卵を産んだ」からなどとは書いていません。
>解析の結果、リストロサウルスの卵は体サイズに対して比較的大きかった
から、「乳で子どもを育てる存在ではなかった可能性が高い」としているのです。
例えばカモノハシの成体は雄で全長45~60cm、体重1~3kg、雌で39~55cm、体重0.7~1.8kgであり、ウズラ(体長20cm前後、体重160~150g)よりも大きな身体をしていますが、卵の大きさはウズラのものが短径約2.4cm、長さ3.2cmであるのに対し、カモノハシのものは1.4〜1.7cmと逆にカモノハシの方が小さくなっています。
もし卵のサイズが大きければ、その分だけ中に入っている栄養の量が多くなるため、幼体は卵の中である程度成熟した大きく強い身体になるまで成長してから生まれる事が出来ます。
一方、卵のサイズが小さければ、中に入っている栄養の量も少なくなりますから、幼体は卵の中では大きくなれず、小さくて弱い未熟な状態で生まれる事になります。
しかし、カモノハシは幼体を哺乳して育てるので、たとえ卵が小さいが故に孵化直後の幼体は未熟であっても、卵の外で親に保護されながら成長する事が出来ます。
つまり、「乳で子どもを育てる」のであれば必ずしも大きな卵である必要は無いわけです。
リストロサウルスの場合
>卵は体サイズに対して比較的大きかった
>大きな卵には多くの卵黄が含まれており、胚は親の世話を受けずに発達することができます
この事から研究者は
>リストロサウルスは現代の哺乳類のように「乳で子どもを育てる」存在ではなかった可能性が高い
と考えたというわけなのです。
因みに体長30~35cm、体重200~400gとカモノハシよりも身体が小さい鳩(カワラバト)は、素嚢から出る栄養豊富な分泌物を吐き出して餌の代わりに雛に与えるという哺乳に似た性質があるにもかかわらず、長径約3.9cm、短径約2.9cmとカモノハシのものよりも大きな卵を産みます。
だから私個人は「卵が大きい事」は必ずしも「哺乳しない事」を示すものではないと思っています。