熟練者だらけのゲームに、初心者が勝てるAIを加える
研究対象となったのは、多数のプレイヤーが同じマップで生き残りを競うオンラインゲーム『PUBG: BATTLEGROUNDS』です。
長く運営されている対戦ゲームでは、時間がたつほど熟練者が増え、後から参加した初心者が勝ちにくくなります。
何度挑戦してもすぐに倒されてしまうなら、操作を覚える前にゲームをやめたり、友人の足を引っ張ることを恐れてチームプレイを避けたりする可能性があります。
そこで『PUBG』は2020年から、一部の試合にAI操作の対戦相手を導入しました。
このAIは平均的な人間より少し弱く設計される一方、人間に近い動きをします。
そのためプレイヤーたちは試合にAIが含まれていることを知っていても、目の前の相手が人間かAIかをその場で見分けることは困難でした。
研究チームは、この運営施策を利用して、AIとの対戦経験がゲームへの参加や友人との交流にどのような変化を与えるかを調べました。
分析対象は3798人で、2019年12月2日から2020年8月3日までの36週間にわたる行動を追跡しました。
合計すると、1人の1週間分を一つの単位とした13万6728件のプレイヤー週データになります。
研究チームは、AIを含む試合を初めて経験する前後で、参加した試合数、プレイ時間、友人と参加した試合数、友人と遊んだ時間がどう変化したかを分析しました。
さらに、もともとのプレイ傾向が異なる人同士を単純に比べないよう、プレイヤーごとの違いや、その週に全員へ影響した出来事を統計的に調整しています。
その結果、AIとの対戦を経験した後には、ゲームへの参加量と友人とのチームプレイの両方が増えていました。
特に大きな変化が見られたのは初心者でした。
では、なぜAIとの対戦が、人間の友人と遊ぶ行動につながったのでしょうか。
より詳しい結果を次項で見ていきます。






























