AIとの成功体験が、友人とのプレイを後押しした可能性
研究者たちの発表によると、AI対戦相手の導入後、プレイヤーがゲームに費やす時間は約50%増え、友人とのチームプレイも約28%増加しました。
つまり、プレイヤーは一人でAIだけを相手にするようになったのではありません。
AIとの試合を経験した後、ゲームを以前より長く続け、友人とも多く遊ぶようになったのです。
研究チームは、この変化に「自己効力感」と「チームへの責任感」が関係していると考えています。
自己効力感とは、「自分ならこの課題をうまくこなせる」という感覚です。
初心者が熟練者に負け続ければ、「自分にはこのゲームは無理だ」と感じやすくなります。
一方、比較的倒しやすいAIを相手に成功すれば、その結果を自分の技能やチームへの貢献を示すものとして受け取る可能性があります。
特に今回のAIは人間と見分けにくかったため、成功を単に「弱いボットを倒しただけ」と片づけにくかったと考えられます。
ちなみに、AIが敵を倒した平均距離は、ゲーム内の仮想距離で2.686メートルでした。
これに対し、調査対象者の92.5%に当たる3514人は、AIより遠い距離から敵を倒しており、この指標ではAIの技能が多くの人間より低かったことが分かります。
そして研究では、平均撃破距離を自己効力感、味方の撃破を助けた平均アシスト数をチームへの責任感の代理指標として、媒介分析も行われました。
その結果、これらの行動指標の変化が、ゲームへの参加と友人とのチームプレイの増加を後押しした可能性が示されました。
また、効果は熟練者より初心者で強く、AI導入前には友人よりも見知らぬ相手と組むことを好んでいた人ほど、導入後に友人とチームを組むようになりました。
今回確認されたのは、あくまで一つのゲーム内で友人と遊ぶ行動が増えたことです。
性格そのものが社交的になったことや、現実世界の人間関係が広がったことまでは示していません。
それでも、初心者が無理なく成功体験を積めるよう設計されたAIは、人間を置き換えるだけの存在ではなく、人間同士の交流へ踏み出すための足場になり得ます。
少なくとも今回のように設計されたAIは、交流を奪う「侵入者」ではなく、人と人をつなぐ「触媒」になれるのかもしれません。






























