船やヘリコプターに矢を放つセンチネル族
センチネル族が「地球上でもっとも外部との接触が少ない人々」の有力候補とされる大きな理由は、彼ら自身が外部との接触を強く拒んでいることです。
彼らは狩猟や採集を行い、海岸では魚を捕り、手作りの細長いカヌーを利用して生活しています。
しかし外部から船が近づいたり、ヘリコプターが上空に現れたりすると、弓矢を放つことがあります。
アンダマン・ニコバル諸島の人々を研究してきたカナダ・ウォータールー大学(University of Waterloo)のシムロン・シン(Simron Singh)氏は、この行動そのものが彼らからの明確なメッセージだと説明しています。
つまり矢を放つという行為は、単なる攻撃ではなく、「自分たちを邪魔しないでほしい」という意思表示でもあるのです。
現在、インドでは北センチネル島から半径約5キロメートル以内への立ち入りが法律で禁止されています。
これは訪問者を攻撃から守るだけでなく、センチネル族自身を守るためでもあります。
長く孤立してきた集団は、外部社会では一般的な感染症に対して十分な免疫を持っていない可能性があり、外部者との接触そのものが深刻な健康被害につながりかねないからです。
実際、センチネル族との不用意な接触は訪問者にとっても非常に危険です。
2018年には、違法に島へ向かったアメリカ人宣教師ジョン・アレン・チャウ(John Allen Chau)氏が殺害されました。
しかし、彼らの警戒心を単に「外部を知らない人々の恐怖」と考えるのも正確ではありません。
1800年代にはセンチネル族がイギリスの植民者と接触し、一部の島民が連れ去られ、その後病気に感染して死亡した歴史があります。
近隣の島々に暮らしていた大アンダマン人(Great Andamanese)も、イギリス人入植者との衝突や外部から持ち込まれた病気によって、20世紀半ばまでに人口が最大99%減少しました。
こうした歴史を考えると、外部社会を警戒することには十分な理由があるのです。
































