見つからないために「自分の足跡まで消す」人々
しかし、「もっとも外部との接触が少ない」という点では、センチネル族だけが候補ではありません。
サバイバル・インターナショナルの推定では、「未接触」あるいは「孤立」した人々の約95%はアマゾン盆地に暮らしています。
その中でも特に興味深いのが、ペルー中部アマゾンのアグアイティア川流域に暮らす「カカタイボ族(Kakataibo)」です。
カカタイボの中には、外部との接触を避けて孤立状態で暮らす人々がおり、彼らは他の先住民からさえ、めったに目撃されません。
孤立した人々を研究する人類学者ベアトリス・ウエルタス(Beatriz Huertas)氏によると、彼らは発見されないために、地面についた自分たちの足跡を土で消してしまうことさえあるといいます。
そのため、彼らについて分かっていることは非常に限られています。
ただし、これほど徹底して隠れるのも、外の世界について何も知らないからではありません。
ウエルタス氏は、彼らが過去に外部との好ましくない接触を経験したからこそ、「孤立すること」を自分たちを守る戦略として選んでいると説明しています。
こうした歴史を見ると、「未接触」という言葉から想像されがちな「文明を知らず、石器時代のまま暮らしている人々」というイメージが正しくないことが分かります。
彼らは外の世界の存在を知らないのではなく、むしろ外の世界との接触を経験したり、その危険を認識したりしたうえで、距離を置くことを選んでいる場合があるのです。
地球上でもっとも外部との接触が少ない人々を、たった1つの民族に決めることはできません。
北センチネル島で外部者を拒むセンチネル族も、アマゾンの森で足跡さえ消す人々も、それぞれ異なる方法で外の世界との距離を保っています。
しかし共通しているのは、彼らの孤立が単なる「時代遅れ」ではなく、歴史や経験の中から選ばれた生存戦略でもあるという点です。
私たちにとってもっとも重要なのは、彼らを無理に「発見」したり現代社会へ引き込んだりすることではなく、接触しないという彼ら自身の選択を尊重することなのかもしれません。
































