双子を比べて見えてきた、遺伝と環境の「重なり方」

まず注目されたのが「遺伝率」です。
遺伝率とは、ある集団の中で人によって違いが出る部分のうち、遺伝の違いでどれくらい説明できるかを示す割合です。
分析の結果、自殺の考えや行動の遺伝率は51〜80%と見積もられました。
これは、うつ病の診断の遺伝率(39〜41%)よりも高い値です。
ただしこれは集団全体についての推定であり、一人ひとりの運命が遺伝で決まっているという意味ではありません。
次にチームは、「遺伝相関(2つのものに関わる遺伝の影響がどれほど共通しているかを示す数値で、大きいほど共通している)」を調べました。
すると、考える・計画する・試みるの3つの間では、0.85〜0.99という非常に高い遺伝相関が見られました。
一方、これら3つとうつ病の診断との遺伝相関は0.48〜0.65で、中くらいにとどまりました。
つまり自殺の考えや行動は、うつ病と遺伝の一部を共有しながらも、まったく同じものではないと考えられます。
さらに違いが際立ったのが、環境の面です。
ここでいう環境とは、家族で共有する環境ではなく、一人ひとりが別々に経験すること(非共有環境)を指します。
うつ病の診断に関わるこうした環境の影響は、自殺の考えや行動に関わる環境の影響とは、大部分が別々でした。
研究チームは、うつ病と自殺の考えや行動が遺伝の仕組みを共有していることを示す、説得力のある証拠が得られたとしています。
一方で、多遺伝子リスクスコアの力は控えめでした。
うつ病用のスコアはうつ病の診断とより一貫して関連しましたが、自殺に関わる結果との関連は、2種類のスコアのどちらも控えめでした。
今のところ、遺伝子の情報から自殺の危険を見積もる力は、まだ限られていると言えそうです。
また研究チームは、一人ひとりの環境の影響が大きいことから、変えられる環境のリスクに取り組む必要があると述べています。





















